記憶を無くす零くん
潜入捜査が終わって暫く、日常が落ち着き始めた頃、降谷の記憶が欠落し始める。トリプルフェイスで溜め込んだストレスが原因らしく、本人も記憶を留めようと手を尽くしたが、間も無くして自分の事すら分からなくなってしまった。
独りで日常生活を送れるはずもなく、施設の世話になる事に。
諸々の手配は風見がしてくれた。「色々すみません、ありがとうございます」降谷は他人行儀に頭を下げた。そこに嘗ての上司の姿は無かった。
降谷は記憶が戻る気配も無く、また、新しい記憶もあまり留めておく事は出来ず、毎日が産まれたばかりのような朝が来る。
独りきりの1日が今日も始まる。
施設の人達は優しい。ほとんど毎日のように顔を出してくれる友人も居る。けれど、今の降谷にとっては誰もが初対面の知らない人なのだ。
きっと今日も、真っ新な明日に絶望しながら眠るのだ。
「やあ、降谷くん。君がここに居ると聞いて…」
頭を殴られたような衝撃がした。男の声に心臓が跳ね上がる。
振り向けば、ニット帽を被った全身黒ずくめの男が悠然と立っていた。
その姿を見た途端、降谷は胸の中が炎で埋め尽くされた気がした。
「赤井秀一…!」
20↑、昭和生まれ、BL育ち。二次読む専。いまはDCあかあむ(左右相手固定)メインだけど、雑多に好き。雑多につぶやく。無言フォロー失礼します。
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