風邪ひき猫
猫は体調が悪くなると隠れる(身を守るため)と言われるので5.4以降ウン百年ぶりに風邪をひいたラハが本能的にフラッと石の家からいなくなる話もいいかも。
依頼で出てるのかな~でも連絡も無しで珍しいな~なんて思ってたらいつまでも帰ってこない。不安に思ったひろしが探しまくってたら封印済みクリタワの外扉の近くの陰に丸くなってるのを見つけてびっくり。無意識にクリタワに身を隠したけど、もう端末じゃないから守ってもらえるわけでもなく、ただただ生命の無防備さと不安を抱えていたラハにひろしは何かを察する。
「……おまえ、向こうでも「そう」してたのか?」
「(高熱で朦朧)……? ……石たちのこえが、きこえな……」
「うーわ、すげぇ熱。大人がヤンチャするからだぞ。魔法の消費量抑えていかなくちゃな」
「……あれ、あんた……どうして……」
「ウンウン、それ前にもやったな、ほい、帰んぞ」
「かえる…………」
そんな感じで暗がりで息を潜めていた風邪不慣れ猫チャンを抱っこして連れ帰って欲しいな。
具合の悪さを隠すひろ氏とそれに気付くグ・ラハの話。 800文字くらい!
□
すん、と僅かに、グ・ラハは鼻を鳴らした。バルデシオン分館のメインホールの中に、ぴりっとした違和感が匂いとして感じられる。異臭と表現するほどの強い匂いではない。それを示すように、男と話しているクルルも、彼の傍らにいるオジカも、グ・ラハが察したこの感覚に全く気付いていないようだった。
グ・ラハは眉間に皺を作りそうになるのを、なんとか堪えた。このしっくりこない感じの原因を、グ・ラハは知っている。だが発生源である張本人、目の前で朗らかに笑う男は、グ・ラハが詰め寄ったところで認めやしないだろう。
グ・ラハは男を横目で一瞥してから、あさっての方向を向いて顎に手を当てた。
「……あっ!」
大きすぎず、しかし聞き逃されることはないだろう声量で、グ・ラハは皆の気を引く。男がしっかりとこちらに視線を向けてきたことを感じた。そうしてから、グ・ラハは男と目を合わせた。
「すまない、思い出したことがあって。あんただけに話したいことがある」
「ん?」
男が首を傾げるのを少しだけ忌々しく思うが、グ・ラハはそれを表に出さないように気をつけながら、男の手を引いた。
「悪い、こっちへ」
言いながら、メインホールをふたりで抜け出す。クルルはそれだけで何かを察していたようだが、グ・ラハは構わずナップルームへと足を運ぶ。
男さえ連れ出すことができれば良い。あとはなんとでもなる。グ・ラハは男をナップルームに連れ込むと、室内にふたりきりになったことを確認してから、彼を突き飛ばすようにしてベッドに叩き込んだ。
普段ならば、男はきっと堪える。グ・ラハの力など大したものではないと言わんばかりに、手首を掴んで制するようなこともするだろう。
しかし、今は違う。男は呆気ないほどに、ベッドに倒れ込んでしまった。グ・ラハは睨みながら男の額に触れる。焼けた石を思わせるほどに、熱い。
「あんた、馬鹿だろ。オレに隠せるとでも思ったか?」
吐き捨てたグ・ラハの言葉に、男が照れたような笑顔を浮かべることすら、腹立たしかった。
成人済/光ラハ(光公)🐈‼️ ほぼ拠点