J.バトラーがパリで「ユダヤ人であることとイスラエル支持であることのコンセンサスの終り」という趣旨のシンポジウムを行ったらしい。これは現在のパリでは「とても危険」で「勇気」のある行為だと言える。
ただし、何度も書いているように、「ホロコースト」が独・仏で国民的記憶になり、ナチスと言えば「反ユダヤ主義」・「ホロコースト」となったのは、1980年代以降。
ある程度以上イスラエル批判をすると「反ユダヤ主義」を返されるようになったのは21世紀に入って位から。
仏では、ミッテラン政権以来社会党からENA(国立行政学院)出身のユダヤ系閣僚が大量に輩出したのが、一つの区切りだろう。レオン・ブルムやマンデスフランスもユダヤ人だったが、これは例外。
ところで、バトラーの発言の中でイスラエル批判のユダヤの伝統の中に「ブントなどのロシア・シオニズム」という言葉があるようなので、一時ブントを研究した者として修正しておきたい。
ブントは「領土・国家」を
否定する思想・運動なので「反シオニズム」。ただし「文化自治」は擁護。また「リトアニア・ポーランド・ロシア社会民主労働党」(1897年設立)が正しい。ブントの中心はヴィルナやポーランドのクラクフだった。翌年ロシア社会民主労働党の立ち上げに協力するが、後決裂する。