2024年1月7日(日) 木馬亭正月定席の千穐楽へ。本来なら、今年で数え米寿を迎える現役曲師・豊子師匠のお祝い興行になるはずだったのだが、なんとご本人がインフル感染でお祝いは2/1に持ち越し。それでも、豊子師匠の6人の弟子のうち5人の曲師が勢ぞろいし、豊子師匠にお世話になった浪曲師がタッグを組むという素晴らしい公演となった。

臨時のパイプ椅子が通路にまでずらりと並ぶ、見たことのないほどの超大入り満員。素晴らしい顔付け、冷房入れるほどの熱気、いつも以上に分厚く飛びかう「待ってました!/たっぷり!/名調子!/日本一!/大正解!」の掛け声、獅子舞にミニ太神楽と、お正月らしい格別感が満載だった。あー楽しかったー!

奈みほ・まみ「不破数衛門の芝居見物」
すみれ・理緒「織田家士官」
小そめ・博喜「大石妻子別れ」
はる乃・道世「水戸黄門漫遊記 散財競争」
菊春・美舟「姿三四郎恋暦」
~仲入り~
獅子舞+ミニ太神楽
講談 琴調「寛永三馬術 愛宕山梅花の誉れ」
勝千代・まみ「秋山の民話 姥捨て山」
奈々福・美舟「甚五郎旅日記 掛川宿」

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前座の奈みほさん、声がのびやか、一生懸命。人柄よさそう。好感持てる。頑張れ。

すみれさん、年明けして一年とは思えない堂々感と、しっかりした音程、細やかな節。上手。

小そめさん、この顔ぶれの中に入るとちょっと声と節では見劣りしちゃったかなぁという感じだけれど、啖呵(語り)では状況を生き生きと描いていたと思う。

はる乃さん、この噺は二度目だけど、いやもう楽しい。弾けるリズムにノリノリ感、客も曲師も自分自身もぐんぐんのせて、随所に余裕のくすぐり入れたりもして。声と節の素晴らしさはいつものとおり。恐るべし最年少浪曲師。絶対にハズレがない。

菊春さん、断然女流びいきのわたしだけど、この噺はちょっと佇まいがかっこよかったなぁ。とくに後半の試合の場面は、なんともいえない雰囲気をかもしだしていて、これは習得して得られるものではなく、本人のもってうまれた魅力なのだろう。中盤からずっと速い展開だったけど、美舟さんの三味線がまた見事だった。

獅子舞は、落語の寄席で見るより長くたっぷり。途中、獅子がネコ科動物っぷりを発揮して、ごろごろしたり、顔を洗ったり、耳を掻いたりするさまがなんとも可愛かった。

講談のこの噺ははっきり言って好きではない。馬が可哀そう。それに加えて、琴調さんの滑舌があまりよくないというか聞きにくい感があって、後半ぼーっとしてしまった。

勝千代さん、今日はトリ前の「モタレ」という立場から、軽く楽しい一席を。先日の上野原の独演会でも披露した姥捨て山。でもやっぱり声と節はすごいなあ。あと、噺のとおり60歳以上は山に捨てられちゃうとすると、わたしも含めて会場のほとんどの人が捨てられちゃう感じだったので、ラストの救いがありがたかった(^^)。

トリは奈々福さん。やっぱりこの人は段違いの桁違い。空気をガラリと変える。初心者ながら、いまの浪曲会のトップを走るのはやっぱりこの人だなと思う。声すごい、節すごい、そしてエンターテイナーぶりをいかんなく発揮する啖呵も聞かせる聞かせる。一瞬たりともゆるむことなく客全体を引きつけまくり、会場中を巻き込んでぐるぐる渦ができるかのよう。誰よりもたくさんの掛け声を集め、一席終わったあとに客席から飛んだ「日本一!大正解!」の怒涛の掛け声のすごかったことったら! これぞトリ、を見せつけた一席だった。終わりよければさらによしの大満足。

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