#講談
(つづき)
そして最後の一席は忠臣蔵から「荒川十太夫」。そう告げたとたんに、ご通家らしき客数名から拍手が起きる。師匠である松鯉先生の得意演目でもあるらしく、また、伯山演によるこの話に感銘を受けた尾上松緑が、これを題材に新作歌舞伎をつくって注目されたらしい。
客席の明かりをすべて落とし、高座へのスポットライトのみで語られていく。義士の中でも名高い堀部安兵衛の切腹時に介錯役を務めた荒川十太夫。安兵衛最期の瞬間に言葉を交わし、そのときに安兵衛のためを思ってついた嘘のせいで、その後苦しみ続けることに。その苦悩の深さが切ないほどに伝わってきて、はらわたを揺さぶられるようだった。客席のあちこちですすり泣く音。もちろんわたしも盛大に涙鼻水がほとばしった。
忠臣蔵関係だけで講談には300席くらいもあるらしい。その多くに通底するテーマは人と人との別れだと語る。これまでわたしは大高源吾と赤垣源蔵しか聴いたことがなく、これが三人目。たしかに三者三様の別れがある。
とにもかくにも伯山先生、また聴きたい。講談界で話題のほかの方々も色々聴いてみたい気持ちは大いにある。まだお江戸日本橋亭などの講談だけの寄席に行く度胸は当分ないので、手軽に行けそうな場を探して、講談を聴く機会を増やしていきたい。
@spicymargarita2 へえそうなんだ。さすが、視点が面白い^^
@torajiyama へぇ〜、介錯って居合の中では、大会や昇段審査では使 われない技なのだけど(その性質上)、実はものすごく難しい技なのよね。介錯役勤める主人公の話って興味深いわ。🤔 …って、講談じたいには関係ないけどさ。