ニコキリR18
その指は、キリルが果てるまで追い詰めた。長くて美しい指だ。煙草を優雅にくゆらせ、ハンドルを握り、人を壊す。自分の尻の窄まりから、それが抜けていく。
「は、あ……」
キリルはベッドのシーツにダイブした。
「もう終わりにするか?」
キリルは首をふりかけて、やめた。やめると言ったら、ニコライが退く。それができる男だから、キリルはニコライに身を委ねる。
けれど、その余裕が今日は気に入らなかった。キリルはシーツの海からゆるゆると起き上がると、ニコライに向き直り、その股間を見た。
そこは勃起していた。キリルはホッとした。ホッとした自分にぎょっとする。だが、どうしようもない。
「終わりで良いのか?」
「そう望むなら」
ぐっとキリルは拳を握る。キリルに選択肢があると言うのだ、ニコライは。
それはキリルにとって当然だった。しかし、こんな日は、ニコライの欲望を見せてほしかった。余裕などなくなってしまって、自分を求めればいいのに。
「しろよ」
「仰せのままに」
ニコライが近づいてくる。キスをしようとしている。キリルは鼻から空気を吸って、待ち構える。
まるで、溺れる準備をするかのようだ。
けれど、すでに、確実に、溺れているのだ。