稲生平太郎『アクアリウムの夜』と『アムネジア』をKindleで読んだ。どちらも、所謂「信頼できない語り手」テーマを孕んだ幻想／ホラー／ミステリ作品であり、怪しい事件や胡乱な事実とともに作中の虚実が徐々に揺らいでいく酩酊感と迷宮感を堪能した。

『アクアリウムの夜』は、ジャンル小説的にわかりやすいと言える「真相」が（一応）開示され、最低限腑に落ちる読後感の作品なのだが（個人の意見）、『アムネジア』のほうは更に読者に対して開かれた内容になっており、断片的に提示される情報や描写をヒントに読者自身が「絵解き」をする必要があり、不親切度は高くなっているがそのぶんより能動的な読書を楽しめる。プリーストやジーン・ウルフが好きな人におすすめ。かも。
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