『 幸福(しあわせ)』以前観た時もすごいと思ったけど、やっぱすごい映画だ。マイ・オールタイムベスト10には入る。ひまわり、ひまわり、そこに止まる虫、遠くから近づいてくる赤い服のぼんやりとした人影…既にホラー。続くピクニックの家族は子どもが赤い服だけど、夫妻は違う。では、あの人影は誰なんだろう。
頻繁にスイッチする赤と青。でも2つの幸福は同じに見える。どれも掴みどころない幻。本当に怖いのは幸せの青い鳥が去ったことより、エミリーが赤の女になるところだ。あの人影はいつどこの誰だったんだろう。
マジックのようにパッと消えては現れるイメージの断片が、色彩や言葉や音楽と連動するリズム。踊るように向きを入れ替えながら重なる身体。街頭や電報の文字がまた、計算されたデザインなんだよな。すべての要素が美しく調和した中で常に薄っすら感じさせる不調和よ。
ヴァルダはすごい。誰でもヴァルダのように映画を撮れたらいいのに。