"オリジナル"の話、田口かおり『保存修復の技法と思想』にも出てきた。
"私たちが目の前にしている作品には、多くの場合、「修復」による「修正」が入っている。時代を超え、いくつもの介入を経た作品は、多かれ少なかれ変容を遂げており、もはやオリジナルとは呼ぶことができない。興味深いことに、この事実が、ひるがえって完全無欠なオリジナル、すなわち「修復分野における原始の「エデンの園」」への夢をかきたて、その追及を人々に促すことになった。(中略)実のところ、この種の夢想が、考古学的発掘作業にも似た過剰な過去への遡り―画家本人によって描かれた彩色層を発見するための洗浄が良い例だろう―を生み、近代以降、数多くの問題を引き起こしてきた。"