『セルリアンブルー 海が見える家』
作/T.J.クルーン
訳/金井真弓

魔法青少年担当省に勤める主人公は、ある児童保護施設を存続させるべきか否かを判断する任務を命じられる。赴任先で出会ったのは、謎多き施設長と強烈な個性をもった6人のこどもたちだった。

規則を守ることが生きがいみたいな主人公が、規則を離れて生活する中で、本当に大切にしたいものは何なのかを見つけていく。お腹の底からじんわりと温められていくような優しい物語だった。

登場人物たちは超常の力を用いて闇からの使者と戦ったり、異世界に冒険に出かけたりはしない。近所の森を散策したり、街に出かけて買い物をするだけだ。でもそれは彼らにとっては大冒険だし、今の彼らにはそれが精いっぱい。「変わったもの」である彼らに近寄ろうとする人は少ないし、視線は冷たい。
それでも、いつもと違う道を歩くことや隣にいる誰かに寄り添おうとすることで、ほんの少しの勇気を出せば、他の人もあとから続いてくれるかもしれない。これは希望の物語ではなく、そうなるはずの物語だ。

ジャンル的にはヤングアダルト(≒ジュブナイル)になるらしく、筋も本文もかなり分かりやすい。お話はよかったんだけど文体が苦手に感じたのは私が読みなれていないのが原因かもしれない。

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『セルリアンブルー 海が見える家』感想続き 

カタブツの主人公が一貫して「どんな相手であれ、こどもはおとなが守るべき存在である」という信念を崩さなかった点がとてもよかったし安心して読むことができた。

あと、登場する「魔法」がハリポタ的に呪文を唱えるようなものではなく、ちょっと「普通ではないことが起こせる(花をめっちゃきれいに咲かせるとか)」程度の塩梅になっており、世界観のバランスが良かったな~と思った。

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