#読書
マーガレット・アトウッド『侍女の物語』
夏からとりかかってようやく読み終えた。読んでる間中息苦しさを感じてしんどかった。どれだけ読んでも「ギレアデ共和国」の全体像が分からない。何も分からないまま主人公の人生はだらだらと続きある日唐突に物語が終わる。
自分は何もしないけれど友人や母親に英雄的な行動を期待する主人公に共感した。私も彼女と同じだから。でも何ができるだろう。この息苦しさは今の日本に生きていると身近に感じるタイプの奴だと思った。
同じ性別の年配者に若輩を管理させるやり口がおぞましかった。タランティーノ『ジャンゴ 繋がれざる者』の奴隷頭スティーブンを思い出した。でも、権力勾配で辛酸舐め続けた年配女性が若輩女性に年代物の「生き抜く知恵」を教えるのは今に始まったことじゃないし、「産む女」「産ま(め)ない女」の格差がひどくて貧しい女は身を売る現状や、支配者層=男から「価値のある女」に認めてもらわないと生存が脅かされるのは部分的に現在進行形なので、ギレアデ共和国の時代がディストピアだったら今もわりとディストピアだなと思った。
年明けの『100分de名著』でどんな解説が聞けるのかとても楽しみ。
この本を読んだ人には伝わると思うんだけど、いっっっちばん最後の一文、あれは私に向かって突きつけられているとおもった。どんな状況になっても問い続けなくちゃいけないし、暗がりの中にある歴史を想像し続けなきゃいけない。