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面白くなってきた 

「あの、ユウゴさん」

 いつになく真剣な顔つきで、名前を呼ばれてどきっとする。いつもの彼らの家、だが彼女以外は不在のようで。ラッキー、などと思ったのは嘘じゃない。
 ついにこの恋情がばれでもしたのか。だとしたらもうここへは来られないな、と思いながら、そわそわするのは心だけに留めておく。

「ん?」
「内緒に……ふたりだけの内緒に、してくださいますか」

 何でもないふうな返事を返し、内心、固唾を呑むなどと。なんだなんだ、急に。

「まあ、せやな。俺はええけど」
「ああ、よかった。ありがとうございます」

 よくないよくない、なんだそれは。あんた主人がいて、皇帝陛下とも仲良しで、それを鑑みるならば、俺と――内緒?いったいなにを?

 空恐ろしい。彼女はなにかの木箱を手にしている。なんだ。何が起こる?

「これ、昨日のお茶菓子の残りで……みなさんがいるときに出すには少し足りないので……今ふたりで食べてしまいませんか?」

 頭の中が真っ白で、とりあえず頷いたのは覚えている。じゃあ紅茶を淹れてきますね、と彼女がその場を立ち去ったのも理解していた。
 ずるり。椅子から転げ落ちそうになりながら。

「なんやねん、ほんま、なんやねんな……」

面白くなってきた 

もっと面白くなってもええんやで……
うま、うま……
もっと振り回されて(うちわを振る絵文字)

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