『原子力神話からの解放 日本を滅ぼす九つの呪縛』高木仁三郎(にんざぶろう) 光文社
「一九五四年の三月二日、これは特別な日です」「突如として、国会に原子力関連の予算案が出されて、それが国会を通過したのです」(p.67)。3月2日に予算案が出され、3月5日に衆議院を通過。ちなみに同年1954年の3月1日からビキニ水爆実験。アメリカは53年頃から「原子力の平和利用」のスローガンを打ち出す……。
中心人物は中曾根康弘。学術会議の学者たちは原子力に否定派が多かったが、中曽根が「政治の力で突破する以外に、日本の原子力問題を解決する方法はないと直感」(p.68)したのだそう。
いやー出だしがめちゃくちゃ政治的なんだな原発って……。「根底に政治的思惑で始まったために技術的基盤が弱かった」(p.72) とあるけど、そういう弱さをこの本で言う「神話」によって補強してた(/る)んだなって思った。
それでも、本の中で原発稼働年数を政府は延長していくだろう、しかし60年など未知の領域だしリスクが高すぎる、30年がいいところ、というようなことが書かれており、昨年政府が原発稼働年数延長の法案を通したことと合わせて「あれ、これ何年の本だっけ……」と慌てることが多々ありました。
並んで、「政府は原発の“老朽化”とは言わない。“高経年化”という謎の単語を使っています」と言及していて、あ〜〜〜〜政府〜〜〜〜〜〜となりました。お前そんなんばっかだな…………。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230531/k10014083551000.html