以前書いた「永遠の海」「海の味」とかは結構、悲しくなるほど渇望している他者の他者性の話だったなーと思いつつ(そして正しく愛撫の話であり、エロスの話であり、自己と他者との間にある断絶を超えられないことの話だった)、これらは今まで私の中で答えがなくて、「まあ突き詰めようとしても特に良いことがないので毎日普通に暮らしましょうよ」みたいな、一種の世界苦扱いをして終わらせるしかなかったんだけど、今回レヴィナスの思想を少しばかり学んで、他者によって傷付き、侵され、変えられてしまいながら他者に手を伸ばして未来へ吸い込まれ続けていつかは滅ぶ、その落下そのものが人生であり、その不断の「傷付き」(つまり他者によって変えられ続けること)が「取得」であり、「傷」(変化)が「得たもの」なのではないかなあ、と思ったりした。
いや、レヴィナスがそう言っているとかじゃなくて、そういう物語が書けそうですね、っていう意味です。
これ、「鳥が呼ぶもの」で同じようなこと書いたな。死っていうのは、命がこの世とは成り立ちの違う世界へ行くことだ、みたいな。