アビゲイル・シュライアー『トランスジェンダーになりたい少女たち』を読んで。
「ヘイト本」だと言われて大炎上していたけど、この内容でなんであんなに批判されたのか???と不思議。
著者は、トランスジェンダーの存在を否定しているわけでもないし、当事者に配慮した表現を心がけてもいるように感じた。そもそも、この本で扱われているのは「SNSや教育・医療関係者の言葉のせいで自分の生きづらさを性別違和だと勘違いしてしまっているかもしれない少女たち」なわけだし、脱トランスした当事者たちが存在していることも事実。
思春期の少女たちの間で"だけ"、トランスジェンダー自認が急増しているという現実を受けて取材した内容で、長年「性同一性障害」の患者を看てきた医師、現在「ジェンダー肯定医療」に携わっている医師の話なども紹介されているので、一読の価値はあると思う。
シュライアーの結論には、母性信仰っぽさが強く感じられるから、そこには賛同できないけれど、この本は"ジャーナリストによるルポ"の性格が強いので、「結論」に賛同できなくても、それ以外の部分から学べることはあるし、「結論」を理由に本そのものを全否定する態度はSNSの悪影響という感じがする。