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村田沙耶香 著『地球星人』読了。
社会が決めた、男の/女のあるべき姿、恋愛や生殖というものに、様々な理由から馴染めなかった者たちの物語。
序盤で既に心をズタズタに切り裂かれ、目に涙が滲むほど辛くなってしまった。ここまで感情移入したり見ていられなくなるのは珍しい。児童が被害に遭うシーンがあるので読めない人は読めないと思う。淡々と語られるだけに、余計辛かった。
最初はとても、主人公が常識から外れた突拍子もない事を言っているように思えるのだが、次第に「たしかに」と同意し始める自分がいる。人間が集まれば自然に形成される空気や同調圧力が、害以外の何物でもない事を思い知らされる。一体どちらが歪んでいるのか、まっさらな心で自分の頭で考えてみることも大切だ。
この1冊を通してある意味で純粋な主張を聞き、地球人は妙なルールで変に縛りあって生きているかもしれないなと思えてきた。
これまで読んだ著者のいくつかの作品にも共通する、常識や固定観念を壊しこんな世界もあるのではと提示してくれるような作品だった。

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