思い出したのか?とあわてて職員寮のリビングへ駆け込む。この時間ならあの人はキッチンで朝の紅茶を入れているはずだ。
「おーる、まいとさん…」ドクドクと心臓が早鐘を打つ。
「君は…iザワくん…だっけ、おはよう。よく眠れたかい」振り返った彼は民衆に向けるような顔で笑う。
「おはよう、ございます…」愕然とした。
彼はまだ思い出していない。なのに何故、あの紙切れは一体なんだ?イタズラにしては悪質すぎる。でもあの筆跡は間違いなくあの人のもので…もうわけがわからなかった。ただの同僚に向ける笑顔で紅茶を勧めてくる声に「結構です」と断りをいれて自室へ戻る。
扉を閉めるとその場にずるずると座り込んで顔を覆い大きく息を吐く。
どんなに辛くても仕事の時間はやってきてしまう。重い体を引きずるようにしてi澤はいつものようにゼリー飲料を体に流し込んだ。