目[mé]がプロデュースしたさいたま国際芸術祭2023に行ってきました。
会場内のすべての物や人がアートか否か、作為か否かわからず、その境界線が崩壊しているのが特徴です。しかも大宮の街中にもその試みが溢れだしています。
また、すでに使用が停止された建築物「さいたま市民会館おおみや」の大ホールや小ホール、その裏側まで空間を使い尽くしているのも特徴。
結果的に、古くて変わった間取りの建物めぐり、リアル謎ときゲーム、解釈と陰謀の境界線、Liminal Spacesといった旬の要素を連想する企画でした。
あとは庭園美術館、フィリップKディック、赤瀬川原平のトマソン、街のヘンなモノ!VOWなどが好きな人も好きでしょうね。

横浜の金沢文庫で「特別展 廃墟とイメージ ─憧憬、復興、文化の生成の場としての廃墟」を観ました。会期が本日までだったので駆け込み。
日本には長年残る石造りの廃墟がない。というわけで、あばら家の表象、法華経の火宅三車(“苦しみに満ちたこの世を、火炎に包まれた家にたとえた語”)を燃える邸宅としてそのまま描いた絵、病や害虫に襲われる人体を描いた絵(展示パネル曰く“廃墟としての身体”)などが展示されている。

フォロー

南都焼討(1181年、平氏による東大寺襲撃)の想像図がこういうと不謹慎ですが、面白かったです。燃える大仏殿から、ちょっと大仏の顔がのぞいていました。なんと「末法の世の危機を衆生に知らせるため、大仏が自ら炎に身を投じた」という説も流れていたそうです。確かに「大仏が燃やされた」では体裁が悪いし、心の支えを失ってしまう人もいるでしょう。

もうひとつ面白かったのが、称名寺(金沢文庫と同じく北条実時が作った北条氏の菩提寺)の僧侶が描いた、宝生寺という横浜の真言宗寺院の地図。訪ねていって、いわれをヒアリングしてマッピングしたもの。
これで宝生寺に“舎利がある”という事実確認ができたので、元寇の不安に対して安心感をもたらしたらしい。あと龍のいる井戸?などの伝説スポットも書きこまれている。
筆もくっきりしているし、シンプルで各スポットがアイコンのように記されてあた。現代の子供が描いた海賊の秘宝の地図と言われても信じてしまいそうだった。
中世のジャーナリズムと安全保障に思いをはせた。

昨日のさいたま国際芸術祭と合わせて、フィクションを生み出し、恐怖や希望で人を操る功罪について考えてしまいます……。
fedibird.com/@biotit/111470417 [参照]

ログインして会話に参加
Fedibird

様々な目的に使える、日本の汎用マストドンサーバーです。安定した利用環境と、多数の独自機能を提供しています。