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岩波「世界」12月号掲載論文がWebで読めるので目を通す。

鶴見太郎、イスラエルが繁栄する陰で――リベラルな国際秩序の非リベラルな参加要件
websekai.iwanami.co.jp/posts/7

イスラエルとパレスチナへの理解が深まった(「解像度」より「色再現性」というか)。

印象深かった論点をいくつか。

●「民族国家」の理念のもとPLOがパレスチナを代表とされた。これはパレスチナの民が置かれた複雑な状況を過度な単純化。ハマスの台頭、オスロ合意崩壊の背景。

●イスラエルの思想は「テロを防ぐには、壁の向こう側への人権侵害はやむを得ない」。この発想はアメリカの対テロ戦争にも。

●イスラエルのセキュリティ技術の輸出に伴い、「反乱分子の侵入をミクロに防ぐことで秩序を維持する」ゲーテッド・ネーションの発想はイスラエルから欧米やインド、中国へと「逆流」している。

●現状の国際秩序は取り残された人々への人権侵害のうえに成り立っている。

感想:安全保障を人権に優先させることは誤謬。人道を守ることがすなわち安全保障の本質。

原則は、脆弱な側の声にも耳を傾けること。コストが高くても話し合いで合意形成していくこと。怠ると、解決コストはより高くつく。イスラエルとパレスチナの問題はその極端な事例。

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