今週が応募締切の紀伊國屋じんぶん大賞、私はこの3冊に投票しました。3冊ともこの社会での様々な問題の現状の厳しさと課題を見つめる内容でありながらも、読んでいると前を向いていかねば、と明るく気持ちを奮い起こされるような本でした。
◆『フェミニスト、ゲームやってる』近藤銀河(晶文社)
◆『韓国の今を映す、12人の輝く瞬間』イ・ジンスン/伊東順子 訳(クオン)
◆『〈寝た子〉なんているの? 見えづらい部落差別と私の日常』上川多実(里山社)
#読書
近藤銀河『フェミニスト、ゲームやってる』
フェミニズム・クィアの視点からの鋭いゲーム批評であり、本書を読むことでゲーム体験への様々な可能性も広がる、ものすごく前向きな気持ちになれたエッセイでした。
ゲームとはプレイヤーがルールとやり取りをして主体的に物語を作り出すものだからこそ、ゲームのクリアに失敗すること(差別や排除のシステムのためにプレイを断念する意味です)は、それ自体がプレイヤーにとってのエンディングの一つであり物語となりえると示した上での、「それは世界を覆う規範や差別へのささやかな抵抗でもある。」という近藤さんのメッセージ、多くの人に伝わってほしい。
ゲーム作品ごとのエッセイとは別に章ごとのコラムがあり、ゲーム内で再現されるレイシズムに反して語られないセクシズムについて、ゲームと能力主義への疑問、ゲームにおける障害の描写やアクセシビリティのこと、オープンワールドの排除の仕組みについてなど、これらの論考ひとつひとつが素晴らしかった。
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近藤銀河『フェミニスト、ゲームやってる』
フェミニズム・クィアの視点からの鋭いゲーム批評であり、本書を読むことでゲーム体験への様々な可能性も広がる、ものすごく前向きな気持ちになれたエッセイでした。
ゲームとはプレイヤーがルールとやり取りをして主体的に物語を作り出すものだからこそ、ゲームのクリアに失敗すること(差別や排除のシステムのためにプレイを断念する意味です)は、それ自体がプレイヤーにとってのエンディングの一つであり物語となりえると示した上での、「それは世界を覆う規範や差別へのささやかな抵抗でもある。」という近藤さんのメッセージ、多くの人に伝わってほしい。
ゲーム作品ごとのエッセイとは別に章ごとのコラムがあり、ゲーム内で再現されるレイシズムに反して語られないセクシズムについて、ゲームと能力主義への疑問、ゲームにおける障害の描写やアクセシビリティのこと、オープンワールドの排除の仕組みについてなど、これらの論考ひとつひとつが素晴らしかった。
#読書