昨日の兵庫県知事選、地域別得票率を見ると、都市部、特に人口の多い神戸市沿岸部で斎藤が稲村さんを圧倒。
ここは安倍派幹部・裏金議員の西村康稔元経産相の地盤でもあり、ボランティア500人をはじめとする資源を集中的に投下、維新・闇の勢力も復活を賭けて「ここをぞ限りに」ーN国の立花も含めてー結集した、ということだろう。
神戸市沿岸部は企業・大学も多く、当然人口だけでなく大卒の若年層も多い。従って、地方で負けても総合すれば僅差で勝利できた。
また維新が「公式に」擁立した清水は25万票、斎藤の4分の1以下。上山信一は「維新の票を斎藤さんに集結させましょう」と絶叫していたが、これもある程度実行されたようだ。
であるから、この選挙だけ見れば、まだ対応可能だったとも言える。
しかし、「中の中の解体」に伴うファシズム化の傾向は、世界的な趨勢でもあり、東京でも「あの」石丸がファシズム地域政党を立ち上げると宣言している。これはまず次の都知事選狙いだろう。
石丸個人は次の選挙までに「化けの皮が剥がれる」可能性が高いが、問題は「あの男」をプロデュースする勢力の資源の巨大さである。石丸がこければ、いくらでも「次」を出演させる。
これに対抗できるとすれば、「リベラル」ではなく「ソーシャル」しかない。
実は鈴木道彦さんは加藤周一さん(1919生)の親族にあたり、専門と立場の近さからも二人は晩年に至るまで、よく会っていたようだ。
私は加藤さんとは20-25歳くらいの時、よく合っていたが、鈴木さんとは20歳後半に2回ほど研究会でお会いしただけである。
その時は、まさに好々爺として「孫」に接するという風情だった。実際鈴木さんと私はちょうど40歳差である。
ただ、加藤さんが80歳近い頃(私は30歳)、「この間鈴木道彦と会って食事をしたのだけれど、僕たちの系譜は大江健三郎で途絶えちゃったね。」と二人で同意(?)したとしみじみ話したことがある。
ここで言う、「僕たちの系譜」とは加藤周一、堀田善衛(1918生)、鈴木道彦(1929生)、そして大江健三郎(1935生)である。
これにマラルメの菅野昭正(1930生)、ヴァレリーの清水徹(1931生)、P.ベールの野沢協(1930生)くらいまでが本郷仏文の「黄金時代」だったと言えるのだろう。
現在、戦後直後の輝きも「長い凋落を経て、今最終的に水平線の彼方に沈もうとしている。
仏文学者鈴木道彦さん逝去。ここ数年、この知らせを内心恐れていたのだが、95歳とあっては、ご冥福を祈るしかない。
鈴木さんは1929年にマラルメ研究者鈴木信太郎(岩波文庫訳者)の息として生まれ、プルースト研究者としてフランスに渡る。
鈴木さんが渡仏した際、フランスは植民地帝国の解体過程で内戦にまで突入していた。
道彦さんがFLN(アルジェリア民族解放戦線)の主張に共感し、幾ばくの協力をしたが、仏内務警察は「いつ・どこで・誰に」鈴木さんが会ったかを全て把握していた。仏治安警察は日本警察がモデルにしただけあって、怖いです。
しかし、鈴木さん以外にも、渡辺守章、蓮実重彦など同世代で渡仏した連中は基本「名誉白人」志向。これは当時の仏の状況を考えると、むしろ不自然で驚くべきことである。
鈴木さんは帰国後「金嬉老」をきっかけに、日本の在日問題にも関わっていく。『越境の時 1960年代と在日』にその事情は詳しい。
また仏文学者として、サルトル、ニザン、ファノンなどを紹介、仏文学界で数少ない「ポストコロニアル研究」の先駆けとなった。浩瀚なフローベール論、『家の馬鹿息子』は蓮実以外、鈴木道彦を中心にして翻訳が出ているにも関わらず、東大総長がさぼりつづつけたため、私は日本語では読めなかった。
BT。
鈴木道彦先生。
プルースト個人全訳で有名だけど、フランスとアルジェリアの問題を、日本と朝鮮半島・在日コリアンの問題と重ねて捉えて、実際に社会問題にもコミットされている。そうした経験を描いた『越境の時 一九六〇年代と在日』という著作もある、お会いしたことはないけど、とても尊敬している先生です。
百条委員会の議員の家族への脅迫は、立花の仕業だった。
【速報】斎藤氏の疑惑調査する百条委委員長が会見「家族が避難」立花氏が自宅前で演説し誹謗中傷と訴え「引きこもってないで家から出てこい」「これ以上脅して自死しても困る」 | 2024/11/18 - 読売テレビニュース https://nordot.app/1231172056462262560?c=768367547562557440
稲村候補のXアカウント、凍結されましたよね。
「「有権者に情報に触れていただく機会が奪われた」とし、県警に相談していると」
【兵庫県知事選挙で落選の稲村和美氏陣営、選挙中にXアカウント2度凍結…「組織的に虚偽通報された」と主張 】2024/11/18 読売新聞 https://www.yomiuri.co.jp/election/20241118-OYT1T50157/
GPIFの植田最高投資責任者が「特定の2証券会社のみ」に国債取引を独占させ、さらにうち一社の役員とは「証券会社時代の特別な人的関係」があったことから、GPIFの将来の投資行動に関する情報まで提供していたことが、監査報告で明らかになったと云ふ。
植田氏はゴールドマンサックス証券取締役を経て2010年にGPIF理事に就任。
この報道だけ聞けば、これは「インサイダー」取引にあたるとしか解釈できない。
しかもGPIFと言えば、世界最大の投資機関家であり、国内債券にその巨大資金の25%を投入している。となると、この取引を独占し、あまつさえ「インサイダー情報をも享受した証券会社が「濡れ手に粟」の巨万の利益を叩き出したことは容易に想像がつく。
老後年金のようなセーフティネットを「ギャンブル」に依存すること自体望ましくないのだが、この「ギャンブル」が不正に運用され外資が巨万の利益を得ていたとしたら、これは「大スキャンダル」である。
他方、物価と保険料は上がり続けるでは、「ルサンチマン」を抱えた大卒サラリーマンが「手取りを増やす」の不倫党首のデマにコロリ、あの「斎藤」の改革を支持、ともなる。
パワハラに関して言うとこの連中にとって被害者は「公務員」であって「内心」何の同情もないのだろう。
昨日の兵庫県知事選、地域別得票率を見ると、都市部、特に人口の多い神戸市沿岸部で斎藤が稲村さんを圧倒。
ここは安倍派幹部・裏金議員の西村康稔元経産相の地盤でもあり、ボランティア500人をはじめとする資源を集中的に投下、維新・闇の勢力も復活を賭けて「ここをぞ限りに」ーN国の立花も含めてー結集した、ということだろう。
神戸市沿岸部は企業・大学も多く、当然人口だけでなく大卒の若年層も多い。従って、地方で負けても総合すれば僅差で勝利できた。
また維新が「公式に」擁立した清水は25万票、斎藤の4分の1以下。上山信一は「維新の票を斎藤さんに集結させましょう」と絶叫していたが、これもある程度実行されたようだ。
であるから、この選挙だけ見れば、まだ対応可能だったとも言える。
しかし、「中の中の解体」に伴うファシズム化の傾向は、世界的な趨勢でもあり、東京でも「あの」石丸がファシズム地域政党を立ち上げると宣言している。これはまず次の都知事選狙いだろう。
石丸個人は次の選挙までに「化けの皮が剥がれる」可能性が高いが、問題は「あの男」をプロデュースする勢力の資源の巨大さである。石丸がこければ、いくらでも「次」を出演させる。
これに対抗できるとすれば、「リベラル」ではなく「ソーシャル」しかない。
おやおや、兵庫県知事選、「あの」斎藤が111万票、稲村さんが97万票とは、神戸新聞の予測通りの結果である。
SNS以外に500人のボランティア、「裏金」議員の西村康裕元経産省(安倍派幹部)の事務所も関与したそうだから、ある意味、維新・安倍派・それに木庭さんの言う「闇」の勢力が全力で資源投入した結果とまずは言えるだろう。
投票率は上がったとは言え50%台だから、主に大卒中心。20-40代は圧倒的に斎藤のようだ。
これは、「陰謀論」にコロリという「リテラシー」の問題ばかりとは言い切れない。何故と云うに、ヒトは「信じたい」ものを「信じる」傾向が厳然としてあるからだ。
現在従来の大卒「中の中」は急速に解体傾向にあり、「生活苦」は日に日に苦しくなりこそすれ、一向に好転の兆しはない。
そこで使い古された手ではあるが「既得権」打破を唱えれば、「既得権さえ打破してれくればやれる」と思い込む「焦る自己責任者」が「陰謀論」にうすうす気づきながらも、斎藤に投票した数字ではある。
というのも、報道が事実であるならば、さすがに「大卒」のプライドが斎藤支持を邪魔するからだ。
いずれによ、戦後体制は世界的にも崩壊しつつある。「ソーシャル」の言説と空間がなければ、圧倒的に「ファシズム」が有利だろう。
「荒野のリア王」木庭顕さんが、ついに「荒野」からお戻りになり、今週の「朝日」デジタルに16頁に及ぶ批評を寄稿している。
ここで木庭さんは「2013年体制」と呼ぶ「極右=ウルトラ・ネオリベラル」体制の起点を1980年代の土光臨調と国鉄解体に見る。この視点は私たちが1990年代に行った「80年代研究会」とその成果、例えば2000年の『現代思想』「ポストモダンとは何だっのか?」、あるいは2023年4月の『現代思想』三宅・大内対談「新自由主義下と教育とイデオロギー」とほぼ同じ。
また木庭さんは新自由主義的再編までの戦後日本体制を「利益集団多元主義」と呼ぶが、これは大企業及び、農協、日本医師会、特定郵便局長、各種業界団体などと自民党の利益調整政治を指す。
新自由主義的再編はこの「利益集団多元主義」さえも立ち行かなくする。例えば小泉による郵政解体などはその典型。
この再編以降の特徴として、木庭さんは、金融、軍事、デジタルの前景化を強調。勿論、統一教会と「反社」による「闇」の浸透も忘れていない。
最後に「希望」として語るのは「個人」をベースにした「連帯」、「新しい市民社会」である。
これは私が「世界史の中の戦後思想」で提唱した「21世紀の社会主義」と同じではないが、かなり重なる概念である。
東浩紀がまたまた兵庫県知事選について「情報が錯綜しているので判断できない」などと発信しているらしい。これは現在、「狂ったように」斎藤元知事を支援している、大阪市・京都市維新顧問、ZEN大学副学長予定者の上山信一が、「百条委員会」の審議の最初に言っていた戯言と同じである。
ある意味「リベラルをリベラルを自称する連中からとり戻す」などと啖呵を切っているネトウヨ大王東浩紀の面目躍如という所か。
しかし、東「、ゲンロン」などという情報で人からカネを取る商売をしておきながら、兵庫県知事選の背景について「情報が錯綜しているので判断できない」などと笑止千万なことを言う。こんなことは「ゲンロン」の社員の一人や二人を兵庫に派遣すれば、立ちどころにわかる話。
要は「情報が錯綜しているから判断できない」ー「判断できないから投票を控える」といういつもの「積極的棄権運動」の反復をしている。
しかし、それにしてもここまで東をつけあがらせ、東的な言説をはびこられ、批評精神を最終的に崩壊させた、東京の文化産業とプロデュースに手を貸した「大物」達は当然知的に責任を問われるべきだろう。
最初の「『存在論的・郵便的』はよかった」などとおためごかしを言っている人は、もう「哲学・思想」について語らない方がいい。
[参照]
事実が明白であり、
結論がはっきりしていることについて、
「情報が錯綜していて判断できない」とか、
いろんな議論があって本当のことがわからない、というようなことをいう人は、
本当に「判断できない」「わからない」のではありません。
これは、歴史修正主義者が、
ホロコーストや南京虐殺など歴史的事実を否定するときの定番のやり方です。
根拠を否定するいろんなレベルの言説を膨大に流して(1つ1つは、被害者数が明確でない、証言者の言うことにブレがあるなど、それ自体としては取るに足らない簡単に潰せるようなこと)、
聞いた人が「真偽不明」だと感じるところまでもちこむことができたら勝ち、
というのが、彼らのやり方なのです。
「情報を錯綜」させて、混乱を引き起こしているのは、むしろ自分たちの側なのに、
まるで無関係な第三者や混乱の被害者であるかのように
「判断できない」「わからない」というんですよね。
しかし、村上隆はともかくとして21世紀に入って、落合Jrやスプツニ子!が「アーティスト」を自称するにようになったのは、「劣化二乗」という所だろう。
落合陽一は「身分制にもいい所がある」として古市ともに、「民主主義解体」を鼓吹し、スプツニ子!はネオ・リベエリートに「バラエティー」と(代理母出産の可能性)」を提供する、といった具合である。
こうなってくると、「芸術家」というよりは「芸能人」であり、その辺りのことも自覚して「アーティスト」などと名乗っているようだ。
サブカルの中でも比較的多様性があると思われる漫画にも最近自称「脳科学者」中野信子原作のものが侵入していると聞く。
中野信子と言えば芸能プロダクションに登録・TVレギュラー、昔外で食事中「アジア人で主体的に思考できる人は2割以下と脳科学で証明されている」とTVで話しているのを聞いて椅子から転がり落ちそうになった。
この人は三浦瑠麗と違って、一見「政治」的な矢面には立たなず、反感も持たれにくいのか、着実にキャリアを積み重ねているが、彼女の振りまく「脳科学」言説の「いかがわしさ」は三浦瑠麗と「どっこいどっこい」である。
芸能とて近世には権力と距離をとっていたものだが、現代の「芸能」は文字通り権力の幇間に堕した(吉本を見よ)。
「現代美術家」の村上隆が川口のクルド人に対する「紛う事なき」ヘイト・スピーチを行っているとのこと。
村上隆は1963年生、私にとっては「現代美術」における東浩紀のようなもので、元来全く評価できない男であり、ここでも繰り返し批判している日本の男中心のサブカルチャーの「反PC」の一翼を担っていると見做していたので、その意味では驚きはない。
80年代消費社会+ポストモダニズムの観点から言えば、村上隆は1993年に「美術における『意味の無意味の意味』をめぐって」なるものによって、「芸大日本画科で初めての博士号取得者となった」らしいが、これは「いかにも」である。
これは芸大日本画家の先生達には訳の分からぬ「現代思想ジャーゴン」をそれこそ「無意味」に並べ立てただけだろう。
しかし、村上隆は元来「論外」なのだが、サブカルだけでなく、日本の「アート」一般の低迷は眼を覆うばかりである。
元来「アート」は権力の周辺で批判的ポテンシャルを爆発させたものだが、これも80年代消費社会の中で完全に体制化された。
特に「アヴァンギャルド」を自称していた空間にそれが該当する。これはある程度世界的に該当する傾向であり、歴史家ホブズボームが『20世紀の歴史』の中で「アヴァンギャルド死す」の章を設けた所以である。
「ともに兵庫、稲村和美」の世話人の津久井進(兵庫県弁護士会会長、兵庫県弁護士憲法9条の会代表)です。」として
以下のX上の訴えが回ってきた。
「#兵庫県 をめぐるWeb界隈は、誹謗中傷やデマが飛び交う大荒れ状態です
私たちの公式後援団体のアカウントも、組織的一斉通報攻撃によって凍結されるという被害を受けました
まさに偽計業務妨害罪にあたる違法行為です
tomonihyogo.jp/info/745/
私たちは、警察や選管とも連携し、毅然と対応する所存ですが、
そうすることによって、すべての陣営が公正な選挙活動を展開し、まともな民主主義社会を兵庫に取り戻したい、その一心なのです。」
これにN国の立花が現地に乗り込み、統一教会が支援する、というのだから、もうこれはほとんど「ゴロツキ」集団だな。
この発信の主の津久井進とば私は中学・高校の同級生である。
私と違い、温和な性格で23歳で司法試験に合格してからも基本、穏健で着実な道を歩んできた。
阪神大震災にあたっても、常に住民側に立って、法的訴訟や住民運動に関わってきた男である。
ここまで来ると「民主主義のレッドライン」まであと一歩しかない。しかし、勝利すれば杉並と並んで非維新・非自民のモデルとなる。これは兵庫県だけに留まる問題ではない。
哲学・思想史・批判理論/国際関係史
著書
『世界史の中の戦後思想ー自由主義・民主主義・社会主義』(地平社)2024年
『ファシズムと冷戦のはざまで 戦後思想の胎動と形成 1930-1960』(東京大学出版会)2019年
『知識人と社会 J=P.サルトルの政治と実存』岩波書店(2000年)
編著『近代世界システムと新自由主義グローバリズム 資本主義は持続可能か?』(作品社)2014年
編著『移動と革命 ディアスポラたちの世界史』(論創社)2012年
論文「戦争と奴隷制のサピエンス史」(2022年)『世界』10月号
「戦後思想の胎動と誕生1930-1948」(2022年)『世界』11月号
翻訳F.ジェイムソン『サルトルー回帰する唯物論』(論創社)1999年