『夏の嵐』主演のアリダ・ヴァリ(1921-2006)は、本名は、神聖ローマ帝国(ドイツ帝国)アリダ・マリア・ローラ・アルテンブルガー・フォン・メルケンステイン・フラウエンベルク男爵夫人。ローマ第3大学博士」という典型的な欧州貴族(オーストリア貴族はとにかく無暗に名前が長くなる。略称「オーストリア皇帝」に至っては、「いったいいつまで続くの?」と言う位長い)。
ま、こういうトランスナショナルな帝国がイタリア民族主義に圧倒されていく過程がビスコンティのテーマでもあるわけですが。
アリダは、 ウィーンを舞台にしたキャロル・リード監督の『第三の男』、M.アントニオーニの『さすらい』、M.デュラス原作の『かくも長き不在』、パゾリーニの『アポロンの地獄』、ベルトリッチの『暗殺のオペラ』、『1900年』に主演。
イタリア・フランスを中心とした20世紀映画の黄金期を支えた女優と言えるでしょう。