シェイクスピア史劇「嘆きの王冠」(上)
リチャード2世から、ヘンリー4,5,6世、エドワード6世リチャード3世まで、百年戦争末期から薔薇戦争までを舞台にしている。
ここでも、先日とりあげたハリウッドとはやはり次元は違うが、部分的に「女性」の戦士化の演出が見られる。
右中央の写真はランカスター派を指揮するヘンリー6世の王妃マーガレット・オブ・アンジュー(マルグリット・ダンジュー)。黒人俳優であることは現代的演出と言えるのでしょう。(かつてピーター・ブルックは「ハムレット」で黒人俳優を主役ハムレットに起用した)。
ただし、王妃マーガレットは史実上も、ランカスター派の軍事的指揮を執ったとされている。
とは言え、王妃マーガレットがみずから前線で剣を振るい、血まみれになるところなどは現代的演出と言えるでしょう。
しかし、このシリーズでは総じて暴力による権力闘争の空しさを強調する演出となっています。
シェイクスピア史劇の映像化としては、総じて成功していると思います。
私個人としては、マーガレット、それに最後の「リチャード3世」はとくに演技も含めてよかったと思います。