『海を見る人』より「海を見る人」(小林泰三) #読了 #よしざき読んだよ
「山の村」に住む少年だった主人公が夏祭りで偶然にも「浜の村」の住民である少女・カムロミと出会ったことにより始まったロマンス。「浜の村」は「山の村」よりも時間の流れが数十倍近く遅く、二人の年の差はどんどん広がってしまう……。要するに、この地球とは異なる重力圏を有する別世界の物語である。
ロマンスとしてはボーイ・ミーツ・ガールのストレートな味付けで好みである。読者にとっては時間 SF の物語に見えつつ、作中世界の人物らにとっては厳として存在するシリアスなハード SF の物語であるという、読者と登場人物とでジャンルが異なるという読み心地に新鮮味を感じた。