大津市にある2kw galleryで開催中(〜8.18)の関口正浩「“桜でんぶ”へのカウンター」展。
京都精華大学から京都市立芸術大学大学院で学び、ゼロ年代後半から児玉画廊に所属しつつ作品を発表していた関口正浩(1984〜2022)の追悼展。松田啓佑氏を代表に、石井海音、佐々木ひろこ、中田有美、村瀬裕子、和田真由子の各氏が参加している「このまま逃げ切ったと思うなよ委員会」が企画しています。
今回は2009年の初個展「うまく見れない」展(児玉画廊(京都))から生前最後となった2018年の「まばたきのかたち」展(児玉画廊(東京))までの間に制作された中から選ばれた十点の絵画作品と制作ノートの抜き刷り、「このまま(ry」による活動の現況を報告したファイルが出ています。関口の絵画作品の特徴はなんといってもその制作方法の独特さにあると言えるでしょう──それはシリコン板に油絵具を塗り、生乾きになったタイミングで油絵具の皮膜をはがしてカンヴァスに貼りつけていくというもので、作品によっては一層だけではなく、様々な色の膜を何層にもわたって貼りつけることで制作されている。当方も児玉画廊がまだ京都にもギャラリースペースを構えていた頃に彼の作品に接したことがありますが、かかる方法で制作された絵画(絵画?)に、ぃゃこれはアリ/ナシ以前にこんなやり方って可能なんだと呆然とした記憶があります。で、その感慨は、今回出展されていた《DUCA》(2010)や《崩れる旗 # 3》(2011)に接することで、改めて思い起こされることしきり。
絵具の膜による絵画は、絵画の前提(重力、矩形、図と地、人間)を揺さぶるものでした。
関口は、筆を使わず「仲介をより減らし、作家より遠くで起こる絵」を追求していました。松田啓佑氏は今回の展覧会に際して配布されたペーパーの中でこのように述べていますが、実際に関口のこの時期の作品に接してみると、そこでは確かに絵画の諸前提、特に「(筆などで)描く」という過程がスキップされ、「作家より遠くで起こる絵」として制作されていることが一見即解である一方、貼られた皮膜の揺らぎやたわみによって様々な表情が現われていることで画面上には直接的な手の動きとは違った生々しさが生じており、それによって、いかに突飛なやり方で制作されているにしても、なお絵画であることをやめていない。かような、制作における間接性と直接性の単純な二項対立とは異なる関係性──ここでは、能動的に手を動かして描くことに対する間接性を追求することで、逆に非主体的な直接性がもたらされているのである──によって画面を構成していくという指向は、後年の《くもがくれの旗 # 5》(2018)においても追求されていたのかもしれません。今回は一点だけの出展でしたが、関口の後期作品において「仲介をより減らし、作家より遠くで起こる絵」はどのように実現したのか/してないのかについては、今後さらなる研究と実践が待たれるところでしょう。
表参道に「Made in Shiga」が集結。保坂健二朗キュレーションの展示に、岩村遠、梅津庸一、笹岡由梨子、保良雄ら滋賀ゆかりの11作家 https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/made-in-shiga-news-202408
2024.8.10〜26、OMOTESANDO CROSSING PARK。東京国立近代美術館から滋賀県立美術館ディレクター&館長に転身してまぁまぁ経った保坂健二郎氏、滋賀県内の事情にも多少通ずるようになったのか(?)、こういう展覧会を開催しはるんですね。信楽はともかく、「知られざるアートの産地」ってフレームワークには若干ゃもにょるところですし、出展作家のラインナップを見ても滋賀県出身者や在住者ばかりで、大津市内にある成安造形大学の関係者や出身者が見当たらないあたりにあっ(察し)となるところでもありまして
他者の単一言語使用 あるいは起源の補綴(プロテーズ) - 岩波書店 https://www.iwanami.co.jp/book/b649636.html
デリダ(著)、守中高明(訳)、8月9日発売予定
ジャック・デリダ(1930〜2004)の著書が岩波文庫に入るのって、これが初めてでしょうか。2001年に『たった一つの、私のものではない言葉──他者の単一言語使用』というタイトルで同じ岩波書店から刊行されてましたが、文庫化にあたって改題されているようですね。代表作と目されている『グラマトロジーについて』ではなく、後期デリダ((C)東浩紀)の諸著作の中から選ぶというところに、最近の岩波文庫の中の人たちの嗜好の変化が垣間見えるところではありますが……
(イマニュエル・ウォーラーステイン『史的システムとしての資本主義』やイヴァン・イリイチ『シャドウワーク』が岩波文庫化されてたのを見たときは、ぇもう? となったもので)
「明白な盗作」vs「受賞を取り消すほどではない」…蔚山の美術展で選考巡り論争激化(朝鮮日報日本語版) https://news.yahoo.co.jp/articles/f6eb1f42bf68bc457ad2b61079733d2facfeccb8?source=sns&dv=sp&mid=other&date=20240804&ctg=wor&bt=tw_up
AI絵云々が話題になる昨今ですが、昔ながらの(昔ながらの?)盗作云々も相変わらず勃発してるんですね。これは韓国の事例ですが、問題の作品を見てみると、確かに元画像を写生した度がけっこう高いものの、生成AIに描かせず肉筆で描いたという事実があるだけまだマシなような?
こういう話題になると、かつて彦坂尚嘉氏がトークショーで「柳の下には3匹ドジョウがいる」(追従者、パクリは3人目までは許容されるというか、そのあたりまでは許容されないと、マーケットが育たない)と平然と言い放ってたことが思い出されるところですが、高度に末期状態化された資本主義のシミュレーションに見えてひさしい現代アート界でも、その「3匹」を「4匹以上」に増やしたのって、今のところ誰もいない説があり?
「マケイン」は、McCainじゃなくてMakeineである(もしかして「Makeine」がなんとなく「負け犬」とも読めることとも掛けてるんでしょうか )
既放送分が今週いっぱい一挙再配信されているので、当方の周囲で微妙に話題になっている様子の『負けヒロインが多すぎる!』を見てました。豊橋市を舞台に、恋破れた女子たち=負けヒロインと変にかかわりを持ってしまった男子とのスチャラカラブコメといった趣。1990年代以来のラブコメラノベ30年史を超高速でリミックスしてる感があって、個人的にはなかなか懐かしかったですが、今のリアル高校生とかにはどう見えるんでしょうね
そして負けヒロインの略称が「マケイン」なの、けっこう 。マケイン元上院議員もアメリカ大統領選で負けてたことが思い出され(ry←←
『イデオン』はエゴの死 ー 新潟国際アニメーション映画祭』で富野由悠季のインタビュー|FULL-FRONTAL https://fullfrontal.moe/富野由悠季/
聞き手:ジョワイエ・ルド、ワツキ・マテオ。このサイトのことも聞き手のこともまったく存じ上げなかったのですが、富野由悠季(1941〜)御大に「まさか今日はこんな話ができるとは思わなかった」と言わせるとは、聞き手として相当な実力がありますな。結果として2024年における御大の『伝説巨神イデオン』観──富野御大の最大のヒット作は言うまでもなく『機動戦士ガンダム』ですが、たぶん御大が(良くも悪くも)最も愛着を持っているのは『イデオン』であろう──や、各種フランス映画についての話題など、硬軟にわたって知見に満ちた良インタビューとなっています。
しかしそれにしても「それはつまり、プーチンは『機動戦士Vガンダム』を観るべきだった?」と御大に投げかける胆力たるや
高校野球の7イニング制を検討 普及と選手の健康見据え 日本高野連:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASS822F4NS82PTQP007M.html
野球、試合時間短縮のためにイニング数自体をいじるのって、これまで某ナベツネしか言ってこなかったものですが、ついにこういう形で公に議論されるようになったんですね。高校サッカーが40分ハーフ(プロは45分ハーフ)だから、高校野球も短めにするというのは理にはかなってますが、個人的には違和感の方が先に立ち
【速報】大阪マルビルは「建て替え後も丸い形で高層ビル化!」円形コンサートホール備えた都市再開発計画が明らかに 大阪市の審議会(MBSニュース) https://news.yahoo.co.jp/articles/704b4994bdb0c4e0cbb4fd5674a506e0c8b104d3?source=sns&dv=sp&mid=other&date=20240801&ctg=bus&bt=tw_up
一昨日KITTEとイノゲートが開業してますます高層ビルだらけになっている梅田界隈ですが、マルビル再建計画も進展しているようですね。昔と違って建築技術も進んでるでしょうから、円形のビルということで生じる不具合も軽減されてるでしょうし。2030年竣工予定だそうで、まぁその頃まで当方生きてられるかな…… ←←
関口正浩「“桜でんぶ”へのカウンター」展|2024.8.3〜18|2kw gallery(滋賀県大津市) https://www.instagram.com/p/C9_1dkFSw8u/?igsh=MWRwYTRteWJlM3VteA==
企画:石井海音、佐々木ひろこ、松田啓佑、中田有美、村瀬裕子、和田真由子。一昨年急逝した画家の関口正浩(1984〜2022)氏の追悼展。関口氏の初個展「うまく見れない」展(2009、児玉画廊(京都))から生前最後の個展「まばたきのかたち」展(2018、児玉画廊(東京))までの10年ほどの間に制作された平面作品が展示されるとのことです。
関口氏といいますと、油絵具の被膜を生乾き状態のまま剥がして別の支持体に貼り重ねていくという絵画というか平面作品で知られています。当方はゼロ年代後半に、(当時まだ京都市にもギャラリースペースを構えていた)児玉画廊で彼の作品に接したことがありますが、その後児玉画廊が東京に完全に移ってからは近作・新作に接する機会も激減し、まぁ今でも東京で作風を洗練させつつ精力的に絵画を発表しているんだろうなぁと思っていたのですが、まさか亡くなっていたとは……
板垣李光人、自身初の個展『愛と渇きと。』開催決定「新しい試みに挑戦しています」 | ORICON NEWS https://www.oricon.co.jp/news/2337374/full/
板垣氏が趣味で(?)作品を制作していること、NFTアートを主なフィールドとしているらしいことは以前から仄聞はしてましたが、個展が開催されるそうで。渋谷を皮切りに名古屋を経由して、大阪では心斎橋PARCOで2024.10.25〜11.10。見に行ってもファンの後頭部しか見えないなんてことになりそうでアレですが
好事家、インディペンデント鑑賞者。オプリもあるよ♪