このところ90年代歴史改変SF(つまり架空戦記)について探っていたが、この検討を一度挟んでから、逆行ループもののウェブ作品(『悪役令嬢の中の人』とか『接近不可レディ』など)を読むと整理しやすいな。

改変SFなのは同じで、90年代までのそれはナショナルヒストリーが変わるが、現代のループものは身近な人や家とのしがらみへと変容しててつまりファミリーヒストリーが変わる。そこにさらに「世界の命運との戦い(だいたい話を締めるための仕掛け)」が追加されたりする。

家とのしがらみ案件でアンチ家父長制の匂いが出る。

この系譜のエンタメはアメリカの家族系譜探しや孤児物語が大衆小説で強力な基盤を構築したことから位置付けていくと見晴らしが一気に得られるはずで、さらに『ルーツ』などブラックカルチャーのエンタメを補助線にするといいんだろう。

この種のエンタメがファミリーヒストリー掘り返しと連動してそう

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こういったエンタメとポリティクスの再編過程によって、この情勢から遡って、いまだとノベゲ殿堂入り作品も変動している最中なのだろう。そこでは「家のしがらみや苦しみのガチさ」判定が新たなウェイトを担いうし、クロスチャンネル、瀬戸口が上位認定されたまま固定されているのはそのせいもありそうだ。

『ビジュアル美少女』所収江永論考の装甲悪鬼村正こだわりは、この線上に置ける。『月に寄りそう乙女の作法』もわりと現代風の調整だというふうに位置づけられうる。

ポルノプロダクトの面では、家しがらみが大筋に近親相姦展開の前振りになりやすかった。ヨスガノソラも痕もその範囲内。吸血鬼になってみんな眷属〜、みたいなハーレム路線も大差ない路線とみなされる。
他方、そういった近親相姦や愛欲ドロドロを削ると今っぽくなるという調整がありそう(呪術廻戦の禅院家皆殺し展開は削ったバージョン)。

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