#落語 #浪曲
(つづき)
奈々福「ものくさ太郎」
今回のお題が「日本の民話」だったということで、今日の新作浪曲は岩波文庫を底本とした「ものくさ太郎」。考えてみたら、ものぐさ太郎って名前は知っているけど、どういう筋なのかぜんぜん知らなかった。聞いてびっくりだよ、こんな話だったのかー。あとでキョン師が「まるで三遊亭白鳥の新作みたいな話だ」といっていたが、まさにそんな感じ(笑)。奈々福師はあえて浪曲ふうに翻案せず、民話をそのまま語るようにやってみたといっていたが、「○○にけり」「○○なり」みたいな語尾を混ぜたのがとてもおかしかった。また、盛り上がって唄に入るところなどは、急いで3日で仕上げたというだけあって、かっちり決まり切っていないスリリングな空気が曲師さんとのあいだに流れてジャズのセッションのようだった。とにかくあの声量のすごさったら。浪曲ってト書き付きのひとりミュージカル(プラスジャズ)みたい。(つづく)
#落語 #浪曲
(つづき)
喬太郎「梅津忠兵衛」
初めて聴く噺だと思ったら、最後の最後に「小泉八雲作」と言っていて、ああなるほど、と。忙しいのにこのために覚えたのだろうか。それともときどき掛けていたのか。ともあれ、八雲ワールドの不思議な話は、とくに劇的なストーリー展開があるわけでも派手なアクションがあるわけでもないのに、ぴーんと糸を張り詰めたようにして客席を聴き入らせる話術はさすがだなと思った。「お若伊之助」にも通じるところが。
奈々福「鹿島の棒祭」
もう一席は古典を、ということで始まったが、唄い出しの「利根の川風たもとに入れて 月に棹さす高瀬舟」というフレーズはなんとなく聴いたことがある。浪曲って、たとえば「旅行けば駿河の国に茶の香り」みたいに、子供の頃にどこかで聴いたような文句がたくさんありそうだな。かっこいい一席だった。そして曲師の美舟さんの合いの手の可愛さったらもう。
ともあれ、このシリーズはずっと聴きたい。浪曲自体ももっと聴きたい。