小山愛子『舞妓さんちのまかないさん』22巻。
小山愛子作品は『ちろり』もそうなのだが、琴線に触れられてしまってだめ。好きです。
「おかあさん」とおにいさんの感じがいい。他人だけど特別な親密もある感じ。同じ街で同じ文化の中にいて、同じ景色を別の場所から見ている。となりよりも、もう3つ4つあいてる距離感。その距離感でも時間は重なっている、というのが、良い。
とはいえやはり手放しに絶賛はできなくて、キヨちゃんの概念化とか、「舞妓」世界(業界?)のあり方とか、それをこの社会はどういうものとしてどう扱っているのかとか、スルーしちゃいけないヤバいものたちが、「きれいでかわいく味わい深さある日常の営みモノ」として、脱臭されているわけで……。
なお『ちろり』にもそういう部分があり、しかし『ちろり』にあるのはまた別のヤバさでもあるような……一番引いたのは、1巻冒頭です。なんであんなシーン描いたの……? いやほんとうに、なんでなんだよ……?
ショックすら受けたくせにどうしたって俄然「好き」なんだから、つくづく、「好きかどうか」「おもしろいと感じるかどうか」「社会的な意味でどうか」ってそれぞれ別個の話なんだよなぁ。