『卿卿日常』、3話時点では、優しくもしたたかで権力者を手球に取る主人公の親友、女性が権力を持つ地方からやってきた槍の使い手、弱気だが筆写の才人(いわゆるギフテッド的な)、といった女性たちが登場する。自分が美男子だと勘違いしてほいほい側室を娶ってしまう第三王子の、20人以上の側室たちが形成するにぎやかな「姉妹たち」も楽しい。陽性かつ制度に縛られた男性をも力づける、明るく楽しいシスターフッド。
『卿卿日常』、とはいえWOWOWが「ダイバーシティーを描いた大人気の群像劇」と謳ったのは勇み足であろうと思う。自分はまだ序盤しか観ていないけど、多分このあとも、LGBTQが本作に登場することはないのではないかと思われるので。
『卿卿日常』に限らず、他の中国ドラマも、こと男女の平等という観点においてはよい印象をもつことが多い。あくまで歴史ファンタジーとわずかな現代ものしか観ていないから、ジャンルによってはまた違うのかもしれないけど。日本よりジェンダーギャップ指数がましな国だけはある。少なくとも、観ている最中に「女性はこれ観て怒んないかな…」という疑念を感じる機会は日本のエンタメに比べると極めて少ない。すごく羨ましいし、日本のエンタメは見習っていいと思う。作劇や演出の技術上の学びが多くあるように思われる。