権利を主張することは「わがまま」ではない。国際人権法の専門家・藤田早苗さんに聞く「人権」について
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 “思いやりや親切は基本的に、自分が仲間だと感じている人、助けたいと思える人にしか向きづらいという点も重要だと思います。本来、自分の仲間であってもたとえそうでなくても、人権を持っているという点ではみんな同じなわけです。

 誰にでも普遍的な人権があって、あらゆる人間の尊厳が重視されるべきだという意識が希薄だからこそ、入管施設の職員による暴行のような差別的な事件も起きてしまうのではないでしょうか。1960年代には、当時の入管当局法務官僚だった人物が「(外国人は)煮て食おうと焼いて食おうと自由だ」と自身の著書に記して大きな問題になったのですが、現在の入管問題を見ていると、いまだにそういった意識は変わっていないのではないかとすら思えてきます。”

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なぜ「歴史のなかの朝鮮籍」なのか
──著者が語る朝鮮籍をめぐる問い・前編
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 “まず、1冊の本の話から始めたいと思います。池上努『法的地位200の質問』(1965年、京文社)という本です。1965年11月、つまり日韓法的地位協定が調印された5ヶ月後に刊行された本で、法的地位協定に関する「200の質問」に著者の池上努という法務省入管局に勤めていた検事が答えるという内容になっています。

 このうち、第160問の「日韓協定に基づく永住権を取れなかった者や取らなかった者の処遇は一体どうなるのか」という質問に対して、池上は次のように答えています。”

 「これも何度も言ったとおりで、日本政府の全く自由裁量に属することとなる。国際法上の原則から言うと、煮て食おうと焼いて食おうと自由なのである。日本政府を拘束するのは特定国家間の条約だけであり、日本と通商航海条約等で入国、在留、その他の待遇について特別の約束をした者とか、日韓協定で一定の待遇を与えることを約束した者に対する待遇だけが日本政府の自由裁量権を制限するのである」(167頁)

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