“こうした「語り」は結果として、強い肉体を持ち、弱い女性・子どもを守る者こそが「男性」という幻想を作り出します。それが反転することで、「普通」の男性なら「女性と子どもを守るはず」という「語り」になり(本来なら守り、守られることはジェンダーという属性にかかわらず、誰もが守り、守られるものであるべきですが)、それが「戦争」という現実を支援するレトリック、そして社会規範となる、というのです。”

“と同時に、ヤングの指摘によれば、こうした「語り」では「女性は自衛を男性に依存するもの」と、その主体性を奪われ、守られる性へと相対的に位置づけられます。その結果として、「守り手」である男性が、守られる側として依存する女性と子どもに「従順」を要求する、という不平等が再生産されていくことになります。”

“(略)戦争が日常に入り込むとき、あるいは、日常が「軍隊化」されるとき、支配する性─支配される性、という伝統的で父権的なジェンダーが正当化され、そして強化されていくということなのです。”

“(略)原爆を投下した側として男性性を担うアメリカにおいて、原爆の被害者性を代表するような被ばく被害は語られない/語りにくい状況にあります。言うなれば、被ばくの被害が「自主検閲」されてきたといえます。”
 

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