文化人類学者のジーン・レイヴと社会学習の理論家と実践家であるエティエンヌ・ウェンガーが著した一冊。
このテキストの着目すべき点は、AAの集団としての再生産過程が言語化されている点です。
ジェイムズはチャールズ・テイラーの批判が正しく示しているように、集団よりも個人に注目し、集団の中で生まれる文化や歴史を『宗教的経験の諸相』において考察しませんでした。
この点は個と超越との関係を鮮明に描き出す点で画期的でしたが、AAはオックスフォード・グループから受け継いだ集団性も併せ持っています。
では、ジェイムズでは描けなかったAAの文化的、組織的な再生産プロセスはどのようなものか。
ひいては、AAにおける「学習」とAAメンバーとしての「アイデンティティの獲得と成長」はどのようなものかを示してくれます。
ビッグブック、Not-Got、『宗教的経験の諸相』、そしてこの『状況に埋め込まれた学習』は、AAを作り出していくための必読書。つまり、現代においてステップ12を実践するためになくてはならない有益な道具となっています。
暑い日が続きますね。
時期より早い暑さで、作物も不作度とか。私たちも生き物、急な暑さは熱中症になりやすいそうです。
塩サイダーは、口の中でシュワーとはじけてさわやかな口溶けです。
熱中症対策に、おひとつどーぞ
健康に留意して週後半を乗り切り、土曜日にお会いしましょう。
パルシティ江東でのBack To Basics ビギナーズ・ミーティングをカレンダーに掲載しました。
9/7 Back To Basics ビギナーズ・ミーティング
https://aabacktobasics.jp/archives/3191
コロナ禍の最中に出版された読書会実践のノウハウを詰め込んだテキスト。オンライン/オフラインで読書会を運営してきた著者らが、その経験の蓄積をまとめてくれています。
『難しい本を読むためには』でも読書会運営ノウハウがありましたが、こちらはさらに詳しく書かれており、参考になります。
『諸相』スタディ・グループでも読書会を運営しています。共に学び合う読書会はとても楽しく、刺激を得られるすばらしいものです。同時に「正解はないけど、失敗はある」ということも感じています。
ナシア・ガミーはアメリカの精神科医で、彼はジェイムズの多元主義を継承しています。
このテキストではヤスパース『精神病理学総論』を下敷きに多元論と折衷主義の違いを明らかなります。この論点から、ポストモダニズムを経た折衷主義・相対主義とポストモダン以前のジェイムズの多元主義の明確な違いを理解することができました。
多元主義は、それぞれの方法や道具の「限界」を強く意識する思考法なのです。
Big Bookスタディ in 京都の振り返りをnoteに投稿しました。
こちらのイベントもカレンダーに追加しました。
QT: https://fedibird.com/@syoso_aa/112461569688269483 [参照]
ジェイムズはパース、デューイらと共に「形而上学クラブ(メタフィジカル・クラブ)」のメンバーとして活動していました。
形而上学クラブはヨーロッパ哲学の主客二元論と訣別し、アメリカ独自の思想を作り上げることを自らの使命としていました。それは『宗教的経験の諸相』の中でも、ジェイムズの反知性主義として鮮烈に主張されています。
この形而上学クラブの思想の流れはAAの中にも流れ込み、アメリカ的な「役に立つ」スピリチュアリティを形作っています。
形而上学クラブの全貌を知るための必読書であり、AAと12ステップの源流を学ぶ必読書です。
下記イベントも『諸相』スタディGoogleカレンダーに追加しています。
公式サイトトップのカレンダーから確認できます。
[7/28] 第5回 Big Bookスタディ in 茨城 | 心の家路 https://ieji.org/2024/14793
19世紀アメリカを観察し、そこに「結社の能力(Art of Association)」を見たトクヴィル。
この「結社の能力」はAAにもジェイムズにも無関係ではありません。
ジェイムズはヨーロッパ哲学とは違う、アメリカの哲学を作り上げようとする形而上学クラブのメンバーであり、アメリカ思想界の自立を目指しました。
またAAは各グループはあらゆる権力や団体から自治独立していることが12の伝統により求められています。
これらはアメリカの「結社の能力」を土台としたアイデアです。AAはトクヴィルの見たアメリカから多くのことを学び直す必要があります。
ひいらぎ氏のNot-Gotスタディが6月に開催されます。
『アルコホーリクス・アノニマスの歴史』スタディ・ミーティング 第4回
2024年6月8日(土)14:00~17:00(途中休憩あり)
https://ieji.org/2024/14548
1960年代に出版されたジェイムズ著作集は、現在オンデマンド出版で販売されています。
『心理学について』『信ずる意志』『哲学の諸問題』はこのシリーズ以外に翻訳がないようですので、ジェイムズに強い関心があるなら持っておいて損はないでしょう。
BBSGだより5月を公開しました。
https://note.com/modern_orchid605/n/n5c225aa78435?sub_rt=share_pb
『宗教的経験の諸相』や『プラグマティズム』などはこちらで紹介したThe Library of America版選集に収録されているのですが、ジェイムズの主著である『心理学原理』は収録されていません。
Dover版が定評があり、かつ安価でよいです。Amazonからも買えます。
5月のBBSG予定について。
11日
18日
20時30分より開催予定です。
5月25日は
Big Bookスタディ in 京都の為
臨時休止となります。
詳しくはHPからスケジュールを確認ください。
ミーティングのご案内です
明日5月8日 (水)
21:00~22:00
※毎月第2水曜日
「回復の『ステップ』」 ジョー・マキュー著
第3章 決心する(ステップ3)p56
読み合せと質疑応答を通してステップ3と4の理解を深めましょう。
ホームページからzoomミーティングに参加できます。
シラバスを大幅に整理しました。
『宗教的経験の諸相』の章ごとにセッションを分割し、そのセッションを複数回に分けて講義する形式です。
以前よりもコンパクトにまとまり、現在のミーティングではどの部分を扱っているのかを理解しやすくなりました。
note連載記事「スタディ通信」に毎回掲載しているシラバスのリンクも更新済みです。
『宗教的経験の諸相』の「哲学」の講では、カントとヘーゲルの世界観、認識論の違いを土台に、宗教に対するプラグマティックな価値判断をジェイムズは行います。
しかしこのヘーゲルの世界観、認識論をぱぱっと理解できるかというと、なかなか時間がかかるのが現実です。主著のひとつ『精神現象学』は、その述語や概念の難解さで知られています。
しかしヘーゲルは、とてつもなく突飛なことや現実離れしたことを主張しているのではありません。彼は啓蒙主義を経た近代以降の社会の中でそれぞれの個人が、どのように人間の有限性を受け入れ、有限性を肯定しながら協働して社会を作っていくかを模索しました。
そのような視点から『精神現象学』を解説するこのテキストは、分量は少ないですがヘーゲルの世界観、認識論の本質を描き出している優れたものです。
『宗教的経験の諸相』の「哲学」の講、またカーツ『Not-Got』を読む手がかりになるでしょう。
『諸相』スタディはスタディ・ミーティングを行う #AlcoholicsAnonymous の特別グループです。
毎月第1土曜日20時からZoomで、W.ジェイムズ著『宗教的経験の諸相』をつかったスタディ・ミーティングを開催中