1階B列13番の席はしょっちゅう目の前にカルロッタが立つので、普段はほとんど見ていなかった別の人物たちが話している最中のカルロッタの様子がよく観察できて面白かった。たとえば、支配人室パート2で男ども(ラウル・アンドレ・フィルマン)が「最後は勝利だ!」とクリスティーヌ囮作戦でドヤっている時に、カルロッタとピアンジは顔を見合わせて「あー、なるほどね。その作戦でいいんじゃない?」みたいな満足顔をしていたことも初めて知った。
私やっぱり岸ラウルが好きだな。失礼を承知で言うと岸さんより外見も年齢も“ラウルらしい”ラウル俳優はいるんだけど、私は岸さんの「クリスティーヌを理解しようと努めている様子が窺えるラウル」演技が良いな〜って思う。この作品はラウルがクリスティーヌの伴侶として信頼に足るように見えないとラストが微妙になると思っているので。(その点でコイツちょっと信用できないぞ感が滲み出ているハドリーラウルは残念だったんだよね〜 ハドリーは演出に従ってああいう演技をしただけだと思うけど) あとシンプルに歌声が好み。ダンスも丁寧で綺麗。
最後の地下でファントムに「二人して出てゆけ 一人にしてほしい」と言われている時の凄い表情も印象的。今日も目が真っ赤になってたし。スタンプラリー動画で「カーテンコールで気持ちの整理がつかない」と言っていたけれど、本当に入り込んじゃってるタイプなのかな。
まさか初の清水ファントムを最前列席から観ることになるとは思わなかった。そもそもオペラ座を1階最前列で観るのも初めてだったし……。
清水ファントム、独特で斬新なファントムで面白かった。現ファントム4人の中で最も「駄々っ子」感が強い。全体的に幼稚で感情表現が顕著、それを歌唱にも反映させるため、所々で正確なメロディを犠牲にしていくスタイル。とはいえ歌は普通にとても上手く(「普通にとても上手い」とは)、声量も十分あり、ロングトーンはどこまでも伸びる。個人的には声が高めなところが良かった。私やっぱりファントムは声が高い方が好きっぽいな…… 高井ファントムは例外。
若いながらも慈悲と母性を感じさせる藤原クリスとの組み合わせだと、終盤では母と子供のように見えた。