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配偶者が葉酸サプリを飲み始めていた。葉酸。大学院時代に留学生の葉さんが、「葉っぱの葉(よう)さん」と呼ばれていたのを思い出す。

学部を卒業してから半年ぐらいでもう余生ぐらいのつもりでいたし、ロシア語を本格的にやる、あまつさえ大学院に行く、外国で働く、帰国してまた大学院に行く、などしてきたがそれはそれで余生の楽しみぐらいのつもりだったが、うっかり結婚して、なんか子供が出来そうな気がしている(まだ気がしている段階だが)となると、にわかにまだ余生ではないという気になってくるからおそろしいものだ。あまり後先考えずに暮らしてきたツケがくるのもまた、おそろしい。

でも、修士ももっと積み増したい。博士はタフすぎてさすがにきびしいが。

通信制大学、学部でも修了はなかなかタフだが、緩いところはかなり緩く(私もそれで学士を積み増した)、レベルの差が激しいイメージ。修士の通信課程は、修論を書くのが大変そうではある。

当地は人口減少が止まらないが、隣町は増えている、当地は貧しいが隣町は裕福だ、当地は衰退しているが隣町には未来がある、などと語られてきた隣町からも、百貨店が消えて、GMSが撤退し、なんだかんだでシュリンクしている。しかし東京でさえそれほど遠くない将来に人口減に転じ、また人口構成も歪になっていくらしいので、どこにいても早いか遅いか、か。漫画版『風の谷のナウシカ』の滅びが不可避だとわかっていつつも生きねばと決意をするシーンを彷彿させる。

薄志弱行、軽佻浮薄。『魁!男塾』で覚えた実用性の高い四文字熟語だ。

結婚してから、ひとりでは決して行かず、ましてや悪友と徒党を組んで行くなど想像もつかないなどの理由で、まったく行ったこともなかった場所に行くことがままあるが、そこには、見事なまでに似合わない結婚指輪をした痩せた男と、一眼タイプのカメラなんか持った如何にも軽佻浮薄な流行りものに関心がなさそうな感じの女との組み合わせばかりで、こういうところに入れる身になったのかと思ったりした。あと女性同士もまあいたが。

絨毯の上でくつろぐとき、クッションによしかかるのは案外背骨や腰によろしうなく、尻と背中との間がほんの少しだけでも接地せずに浮いていると、たちどころに腰痛になる。歳か。

「破滅するのならば、一緒に破滅しよう」「いざとなったら一緒に、××の住み込み労働者をやろう」などと言われて、それはそれで男冥利につきるが、しかしソ連崩壊や『セーラームーン』放送開始よりも後に生まれた人間にそこまで言わせてしまったからには、私が無聊に耐え、停滞に耐え、衰退にさえ耐えて安定収入を配偶者には享受させねばならんと強く思ったりもするなど。

ふつうに考えると、面白い(ような気がする)ことに打って出て、既存の安定や既存の所得より明らかに不利なことに従事するのは、とんでもなく若くやり直しや親やその他の人間の支援が期待できるか、もともと資産を築いてたりどこでもやっていける技能を持っていたりするか、はたまた中年以上であってもいつ人生を畳んでもよいか、そういう立場でないとなかなかできまい。
妻と猫とがあり、住宅ローンがあり、大きな年の差婚の配偶者の人生はかなり長く、子が出来たら大学まで行かせる……などと思うと、無聊に耐え、停滞に耐え、長期的な衰退にさえ耐えて、既存の安定収入を得るのか最適解である。
まあ、今後の人生が収縮していくのが見える、中年期の危機を迎えているのだろう。妻には、どっか行ったりしないでね、と釘を刺されたりもするなど。

いまどき、ロシア語翻訳と簡単な通訳のスキルを要しつつ、管理職、総務の経験者を募集してる求人を見つけてしまった。すごく安い上にタフな業務っぽいが、すこし、心引かれる。

結婚して住宅ローンを組んだ段階で、かなり身の振り方の選択肢が乏しくなったし、自分自身の加齢という条件(例え独りだろうと決定的にのし掛かる)もあり、一念発起して面白いことをする、勉強して次に期待する、特に後先考えず勉強するという選択肢はとれなくなってきた。しかしここでまた、外国に打って出たり、ロシア語学院に再入学したり破天荒なことをしたい願望はつきない。

最近はスーパーの寿司ネタにカニカマが目立つようになってきた気が。カニカマは長年の一人暮らしにおける貴重な動物性タンパク源だった。郷愁を誘う。

悪は裁かれるべき、不正は是正されるべきと信じるのはわるいことではないが、準備も力も後ろ盾も根回しもなしにいきなり不正を糾弾しても、よくて報復人事で閑職に飛ばされてたり、悪ければ有形無形のリンチで心身を破壊されたりするので、素朴に正しい声を挙げれば認められるはずと信じるのは危険ではある。

「食える資格」みたいなランキングにはだいたい私の持ってる資格がいくつか入ってるが、「40代からの食える資格」「50代からの食える資格」みたいなやつにも入っていて、これは罪深いと思った。結論からいうと一念発起して取っても食えない。食えるやつは、もともと食うのに困らない有用な技能、経験、人脈を持っている人間にさらなる武器になるのであって、単に取っても無だ。

かつては偉大な成果を残した指導者が、老いて事理便識能力を欠く常況になっても偉大であったが故にその意思決定に異を唱えられる者が誰もおらず、社会が破滅していくような話は枚挙に暇がない。そうなりつつあるのがわかっていても、人にできることは寿命が尽きるのが明日であるのを祈ること、乾坤一擲のクーデターに打って出ること、亡命すること、せめて自分の身だけは守ることしかないのであろうか。

配偶者が昼間、ベッドシーツをひとりで交換したことに、帰ってから気づかなかった。部屋の変化には敏感でなければならない。

ボーナス、あんまり縁があったことがない。

車の任意保険、配偶者もカバーするので年齢制限を大幅に下げざるを得なくなり、けっこう高い。

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