福島復興政策のチグハグさは、自治体単位で復興事業を策定しているという現在の政策決定スキームに起因する根本的な問題である、と最近は確信するようになっています。
「自治体のご意見を伺う」と、政府関係者は口を揃えるのですが、そもそもが、最大で2万人規模の零細自治体で、首長を筆頭に幅広い知見を持っているとは到底言えない状態のなかで、放射能汚染と避難指示による全住民避難、その後の避難指示解除と地域再生という前代未聞の事態に直面しました。
そのなかで、「さぁ、復興プランを立てて」と突然言われたとしても、考えつくのは、普通に住民が暮らしている時に行っていたやり方そのまま、だけです。
・工場を建てれば仕事ができてみんな残ってくれるだろう
・東京のコンサルなら素晴らしいアイデアを出してくれるだろう
・若い人のアイデアに期待して
・娯楽施設が必要
どこの小規模自治体でも見られるありきたりの発想で復興プランは建てられ、そこには、広域の連携という発想も、これが誰も直面したことのない新しい事態であり、これまでとは違う対策が必要なのだ、という発想はありません。
自治体と地域を交えて知恵を絞るシステムを作る役割を担うのは、復興庁であるべきでした。
しかし、復興庁は、復興予算を配分する以外の機能は果たしていません。
災害からの復興についても、過去の研究などからなにが課題であるのかといった点は、多く蓄積がなされていますが、その過去の経験を活かせる部署は日本政府内にはありませんから、次の災害の復興の時にも、同じ失敗を繰り返し続けることになると思います。
ひとつだけ言えるのは、復興庁は、復興の「司令塔」などではありませんでした。
また、F-REIも「司令塔」になると掲げているようですが、現在の状況を見れば、復興庁よりもさらに露骨な形で、あらたな利権ばらまきのお財布になるだけで、なにひとつ司令塔機能は果たせないと思います。