アゴタ・クリストフ『悪童日記』を読み始めた。数年前にTwitterの名作ボットの文章で興味をもったのがきっかけ。おばあちゃんが魔女と呼ばれるのもわかるような意地悪で、その人生に何があったのか。悪童達、それはダメだろという悪戯もしているが、何をやるべきなのかを子どもなのに知っていて実行する。
感想『悪童日記』 もっと見る
思っていたのと違った。子どもが主人公の戦争小説というか、戦争戯曲だ。第二次大戦下、ハンガリーと思われる国。田舎町で、初めて会う祖母の所に疎開させられる双子の少年。祖母は意地悪で貧しく、独りでしぶとく生きている。少年達は耐えがたい境遇を、知恵を回し、自らを鍛え抜くことで生きのびる。どんな苦痛にも何も感じなくなる。時々、やるべきことはやる。殺し、盗み、暴力、虐待、性加害。迫害があり、戦争は終わっても圧政が続く。
双子というのが、助け合う相棒のようでもあり、自分一人との対話のようでもある。100年にも満たない少し昔の欧州はこのようだったのか。また戦争が始まればこのようになり、今も戦争をしている所ではこのとおりなのか。兵士達だけでなく、戦地から離れた庶民も地獄を見る。
原題は大きなノート、双子が事実だけを描くことにした作文を思わせるが、邦題に日記とあるように、一つ一つのエピソードは短い。遠慮なく暴露される悪夢のような日常。その中で生きて死んでいく人々。
感想『ふたりの証拠』 もっと見る
『悪童日記』の続編。離れ離れになった双子の片割れ。名前も明らかになり、身分証も得るが、戦争が引き裂いた影のような青年。転がり込んだ女は前作の隣の家の少女のようでもあり、母親のような女は夫を追い求める。どんな苦しみにも耐える子どもは昔の双子か。似たような別人がかわるがわる出てきて夢のようでもある。双子以外にもものを書く、書こうとする人物がいて、著者の執筆の苦しみを反映しているように思える。
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感想『悪童日記』
思っていたのと違った。子どもが主人公の戦争小説というか、戦争戯曲だ。
第二次大戦下、ハンガリーと思われる国。田舎町で、初めて会う祖母の所に疎開させられる双子の少年。祖母は意地悪で貧しく、独りでしぶとく生きている。
少年達は耐えがたい境遇を、知恵を回し、自らを鍛え抜くことで生きのびる。どんな苦痛にも何も感じなくなる。時々、やるべきことはやる。
殺し、盗み、暴力、虐待、性加害。迫害があり、戦争は終わっても圧政が続く。
双子というのが、助け合う相棒のようでもあり、自分一人との対話のようでもある。
100年にも満たない少し昔の欧州はこのようだったのか。また戦争が始まればこのようになり、今も戦争をしている所ではこのとおりなのか。
兵士達だけでなく、戦地から離れた庶民も地獄を見る。
原題は大きなノート、双子が事実だけを描くことにした作文を思わせるが、邦題に日記とあるように、一つ一つのエピソードは短い。遠慮なく暴露される悪夢のような日常。その中で生きて死んでいく人々。