映画『美と殺戮のすべて』感想
理不尽な出来事により愛する人を失い続けてきたナン・ゴールディンにとって、巨大な権力によって自分の命が脅かされていると気づいたとき、自分と他人の命を守るために抗議行動を起こすことは当然であり必然だった。ナンが今、イスラエルによるパレスチナ人の虐殺に抗議していることも、また当然のことなのだ。
エイズ患者だった友人デイヴィッドの「保険未加入で治療が受けられない、これが政治の問題でなくて何なのか」「死に慣れて、生よりも死が身近な日常になることが怖い」という言葉が印象に残っている。ただありのまま生きているだけで、否応なく政治に人生を翻弄され、生活から政治を「切り離したくても切り離せない」人がいる。政治に「関わら」なくても生きていけるという幻想を抱いていられることは、実に特権的なことなのだと痛感する。
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