昨日のNTL クリント・ダイアー演出『オセロー』でデズデモーナの裏切りへの義念からパニックに陥るオセローを囲むようにブラックフェイスの面をつけたモブが盾を警棒で叩き威嚇する時、ベネツィアでその武功により尊敬を集める将軍ではなく社会から阻害され追い立てられる「ムーア」になるという場面が凄かったな。人種差別と性差別をヒエラルキーの問題として展開させることでイアーゴの嘘に苛まれる哀れな英雄ではなく人種のヒエラルキーの中で孤立し、その不全感の解消を家庭内で後ろ盾を失った良家の女であるデズデモーナに向けるオセローになってた。そして人種のヒエラルキーにおいて優位にあるはずの自分が社会のヒエラルキーで劣勢に置かれる忿懣をやはりエミーリアにぶつけるイアーゴを反復している。降りたり登ったりするでけ盛り上がる舞台を囲んでる階段も暗闇の中にモブを消してしまう照明の演出も面白かった。