『ビヨンド・ユートピア 脱北』を観ました
なかなかその実情を知ることが難しい「北朝鮮」から逃れようとするひとびとと、その支援者を追いかけたドキュメンタリー。
国家権力を絶対的なものにするためのプロパガンダと教育、そして暴力と圧政がいかに市井の人びとを蝕んだか、その片鱗をを窺い知ることができます。命がけで国境を越えその支配から逃れようとするひとびとの姿から国家権力による支配と暴力の苛烈さを思いました。
ただ、これを単に「スリリングなドキュメンタリー」として称賛するわれわれ、日本と欧米のメディア、あるいはそういう風に受容されることを良しとした制作側さえも、朝鮮半島における日本の植民地支配と、その後形を変えて継続した欧米の植民地主義に端を発する対立(これは資本主義陣営と共産主義陣営の経済的闘争などではない)がいまの「北朝鮮」をかたち作ったということをゆめゆめ忘れるなよ、の気持ちにもなりました。「北朝鮮」を悪魔化することは人種差別と隣合わせでもありますし。