2023年2月12日
『THE FIRST SLAM DUNK』を見た。
とてもいい試合を見た。ひとつひとつのシュートに意味があって、手に汗握る試合でした。特に終盤の展開なぞは、息をするのも忘れるぐらいでした。
カメラがコートの中まで入っていくので、選手の目からこう見えてるのか、とアニメならではの感動があったと思います。
試合そのものが魅力的で物語があったので、その試合の背景となるプレイヤーの物語は果たして必要だったんだろうかという根本的な疑問が生じてしまい。
この『THE FIRST SLAM DUNK』に関しては、本当に素晴らしい試合だったので、この作品には登場人物の物語は不要だったとも思うんですよ。でもまあ、人は物語を欲する生き物なので、基本的には要るんでしょうね。
とにかく、絵が動いてた!
小学生のちっちゃい子の細い手足にだぼだぼの服が堪らんかったです。
#映画
2023年2月12日
『金の国 水の国』を見た。
良かった。上品だった。登場人物が賢いので、諍いがスパンと治った。
布の質感の違いをセルルックのアニメで表現するのは難しいのかもなあと思った。
建築家のキャラデザが安藤忠雄だったので、ちょっと気が散った。
#映画
2023年2月12日
『イニシェリン島の精霊』を見た。
長年親友だと思っていた男から突然絶縁されるところから話は始まる。
人間関係の話だった。島の景色は美しく、ロバはかわいい。
コルムは思いやりに欠けていて、パードリックは想像力がないんだよな。パードリックの下位互換のドミニクを側に置いて、長年の関係が主にコルムの忍耐で成り立ったんだろうなと窺わせるのが上手いよね。
妹のシボーンは耐えかねて島を出ていったけれど、出ていって解決するものでもないし。
#映画
2022年11月17日
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ『戦争は女の顔をしていない』読了。
当時15〜30歳だった、独ソ戦に従軍した女性たちのインタビュー集。翻訳の所為か、口語体の所為か、当時の彼女らの年齢の所為か、文章から受ける印象は萌えでた新芽のように柔らかい。
ひとりの口から語り得ることは、その人が体験したほんのひとかけらにしか過ぎなくて。それら断片の集積。広い海の汀に立って、漣を眺めているような気分になった。
戦線と銃後の女性の断絶とか、『戦争は女の顔をしていない』というタイトルの意味とか、ミシンとか下着とか、いろいろぐるぐるしている。
日本は先の戦争を完膚なきまでに負けたので、他人の土地で何をしたのか忘れたふりをして、戦争の悲惨さを嘆くことができるけれど、ソ連は大祖国戦争に勝利したので、戦争を輝かしい誇らしいものとして語らなければならない、ということに思い至ってなかったです。
わたしはまだ、「人間は戦争よりずっと大きい」という言葉を、まだちょっと信じられないでいる。そうであったらいいな、とは思ってるし、500人以上もの戦争の話を聞き続けた作者がそう謳うのであれば、そう信じたいと思ってる。
#読書
2022年11月15日
吉村昭『脱出』読了。
戦争末期から敗戦までの、樺太からサイパンまでの短編集。
読んでる最中思い浮かべてたのが、冬の晴れた白い空に漂う風船で、これまでの世界が崩壊するのは分かってるけれど、これからどうなるのか分からない、という寄るべない不安感が印象に残りました。
#読書
時々喫茶店で話す、発達障害を自称しているちょっとエキセントリックなおばちゃんがいるんですが、その人が短歌の本を読んでいて、「私好きな短歌と嫌いな短歌がハッキリしてるのよ!」と。「たとえば見てこれ!ふと鍋から目を離したら吹きこぼれてた様子を"白い巻き毛"みたいに表現してるんだけど、私はこういうのがダメ!気取ってる感じがしてムカついてくるのよ!本当にお前その時にあぁ巻き毛だ〜とか思ったかって話よ!思わないでしょ!吹きこぼれてんのよ鍋!ウワーッてなるでしょ!やっちまったァーとか!そんなんでしょ!白い巻き毛とか後で出来事を回収しようって感じがするのよ!"怒りのままにシンク投げ込む"とか"みじめきわまる床のありさま"とかそういう感じであるべきでしょ!」と罵倒を極めており、もうお前が発達怒りの短歌を書きまくれよという気がしてきたし、プリミティブな怒りがちょっと面白そうではあった。なんだよみじめきわまる床のありさまって。
『シン・仮面ライダー』を見た。
素材を焼いて最小限の塩だけで味付けしたみたいな感じで、脂っ気がない。嫌いじゃないけど、人に勧められるかと問われれば躊躇する感じ。
場面、場面が繋がってなくて、すごいぶつ切り。でも、その場面、場面が最高にバチクソ決まってる。で、ラストバトルで、その最高に決まってたカットとか構図をわざと捨ててるんじゃないかなあ、みたいな感じ。
ライダーキックの殺意がとても高かったです。
「仮面ライダー」というのは、バイク乗りだし、仮面を被る存在なんだよ、というのを伝えたかったのかな。「仮面」を被るという行為にだいぶ意味を乗せてる。
この物語が始まる前は独りでバイクに乗ってた彼が、この物語の終わり、角島大橋を走る頃には三人でバイクに乗るようになった。それは本来彼の望んだ生き方ではなかったけれど、その変節を、人と繋がることの制限を、肯定的に説いてる気はしました。
#映画
同じく型が明確な宮崎アニメ(特にトトロや千と千尋)と比較しちゃうのも面白くて、いずれの作品もファンタジー世界に接続するきっかけは、引っ越しや親の不在みたいな「子供のささいな不安」が廃屋・廃墟に象徴される「失われた歴史」に触れることなんですね。一見これらのファンタジー世界は、現実の影響下に生まれた空想(逃避)のようにも思えるのですが、実は作中で語られる皮層的な現実(戦争とか新しい生活とか)とはまったく関係のない秩序がその世界にはあって、「この現実とはかけはなれた異世界が存在する」という確信を支えてくれている。なぜそんなことができるかというと、その世界が「失われた(ように見える)歴史」からやってくるからで、言い換えれば人間が何千年も昔からなぜか知っている「向こう側の世界」という膨大な蓄積から比べれば、「この現実」なんてちっぽけで取るに足りないものだということが分かるからなんだと思います。
先日、丸木美術館に伺った時の話。丸木位里・丸木俊の『原爆の図』をはじめとした作品が収集・展示されており、2人が使用していた24畳のアトリエにも入る事ができる。原爆の図シリーズの他にも、アウシュビッツや水俣病などの大型作品が展示されている。街からは少し離れたところにあり、川に面した裏庭では鶯が鳴いていた。
今回はイベント展示『趙根在写真展 地底の闇、地上の光 ― 炭鉱、朝鮮人、ハンセン病 ―』を目的とした訪問。自身も炭鉱労働に従事した経験のある趙根在は、後に上野英信と筑豊の炭鉱写真集を編纂しているが、最も有名なのは全国各地の国立ハンセン病療養所で撮影した患者写真だろう。国立ハンセン病資料館でも一部展示されている「舌読」の写真もあった。朝鮮、炭鉱、ハンセン病、水俣病、このあたりのテーマは掘れば掘るほど繋がってくる。見るたび、どれも地獄ではあるが。
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おたくらしいですよ。基本的にやる気がないです。フツーにダメ人間です。今特に腰を据えてるジャンルはありませんが、ときどき何かをぽつぽつ書いてます。オススメ本とかは常に募集中です。
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