BT
自分はいっとき、ストックイラストの出品者（というのだっけ、要は売る側）になることを考えたことがある。ほんわか想像したレベルで実際に手を動かすことなく終わったけど。

当時、ストックイラストでむちゃくちゃ売れているひとがいた。そのひとの作品に共通していたのは「無」の感じ、何の主張もせずただそこにいます、みたいな感じ。
あの感じ、私は正直好きではなかったのだが、ある種のすごさは感じたし、使う側は使いやすいだろうと思った。
そして実際、政府関係の広告から企業の広告から、ネット広告の至るところで使われていた。

でも、私はそういう「使いやすい」ものを生み出せるとも思えないし、どういう意図であれ自分が生み出したものを、自分の志向や政治的主張と違うものに使われるのはいやだなと思った。それで早々にその想像をやめた。

いやじゃん、自分が世に送り出したイラストがマイナンバーカードとか宣伝してたら。日の丸掲げてたら。それが「ストック」と冠された、消費されることを前提とするものであったとしても。

もっとも、自分が今受注仕事で文章を書いたり校正をしたりしているものが、すべて清く正しく社会をよくすることに資するものかといえば、全然そんなことないけど、それでも最低限のラインというものはある。