アブドゥルラザク・グルナ『楽園』、インド洋世界の絢爛豊満な文化を織り込んだ文学なんだが、最終盤に至ってようやく「これ」が下敷きなんだと気づいたよ、主人公の名前からして「そう」なんだけど……英語で書かれたインド洋イスラーム文学……(東洋文庫『ユースフとズライハ』解説)
南アジア、ペルシア、アラビア、そしてスワヒリの岸辺と東アフリカ内陸のきらめく詩の精華……

ヘラートの庭園! カフカース(「カスカス」)の美しい庭園! ムガルにやまほどある四分園! ああ〜わかる〜わかるよ〜〜人類の豊かさ……どうしようもないクズのヨーロッパ人……

ああ〜〜どうして音楽は深く深くつながっているのに、人間はバラバラに生きるのだろうね……芸術に国境はないのに、文化にはあるのだろうね……

わー読み終わった〜〜うわーーーんおかあさーーん(概念)!!! 叫びたい。地球の反対側のスワヒリネイティブにも俺とほぼおんなじこと考えてるひとがいるんだね……まさしく芸術に国境はなく、文化に国境はある……
そしてこの文学を訳し注を付け解説し、アラビア・ペルシャ・南アジア・スワヒリ・内陸の多種多様な文学の伝統を引いて解きほぐす訳者が日本語圏にいて、引用元にも日本語訳する研究者がいるという豊かさよ!!!

英語ネイティブだからこの作品を「読める」かというと、(美しく端正な英語だそうで)読めるだろうけど、日本語読者ほどではないんだよ、この注と解説と引用元の日本語訳がないから。

アラブ文学や南アジア文学、ペルシャ文学の研究者・読者にもこの作品は読んでもらいたいなあ

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多様なルーツのひとびとが交易したり敵対したり強奪したりする、その「ことばも通じないし慣習も理解できない」という不安と不透明のなかで、それでも相手を信頼できるのか、そのための手段が文学なんだと思う。作家はザンジバル革命からイギリス移住をして、差別と貧困をくぐり抜けた、その実体験のなかで「書き表すべきこと」を見出し、作家になった……

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