『雨を告げる漂流団地』(2022)
監督/石田祐康

テーマよし。キャラデザよし。作画よし。音楽よし。雰囲気エモエモのエモ。
なのにどうしてこんなに面白くないんだ?????

序盤30分は結構わくわくしたんだけれど、それ以降が壊滅的に面白くなかった。なんだろうなあ、ロビンソン・クルーソー的な冒険と、喪失を抱えた心の描写が、うまいこと噛み合ってなかった感じがする。アクションシーンは見ごたえがあったんだけど、心の描写が薄味…というか、気合入れるとこそこちゃうねん、もっと関係性をちゃんと見せて欲しいねん、ってなった。

にしてもこの話、90分に収まったとおもう。無駄に引き延ばしたシーンが多い。例えば『のっぽくん』の正体は序盤からまあだいたいどっちかやな、って見当が付いてたし、いっそのことさっさと教えて欲しかったなあ…。ノスタルジーに訴えかける内容なので、その辺の機微を知らない小中学生がターゲットとも思えないし…。

雨が降って廃墟が出てきてオチが「僕達は大丈夫だ」でよく見たらキービジュアルもなんかうっすら『天気の子』感があったので、実質新海作品だったのかもしれない。

あっでも『すずめの戸締まり』よりはよっぽど真面目に喪失について向き合ってたとおもう。こどもの描き方もよかったし、不意打ちで性癖も晒してこないので、最後までノーストレスで観られたのもよかった。まぁそれでも「どっちが面白いか」と聞かれたら、テンションのぶちあげ方が非常にうまい点では『すずめ』だな…というかんじ…(なお公開は漂流団地の方が先)

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取り壊される建物たちは人間の都合で生まれて、最期は人間の都合で取り壊される(=殺される)運命にあるのだから、人間は恨まれこそすれ感謝される筋合いなどない……というのは私が作り手と価値観が合わなかっただけだろうか……。
まぁ『すずめ』の悼み方(主人公が想像した=できた人々の「いってきます」だけを弔う)よりはマシだけども。

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