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アーシュラ・K・ル=グウィンの創作指南本『文体の舵をとれ』について、訳者の大久保さん、「文舵」合評会主宰の大戸さんとお話した記事が公開されました。見てますか、ル=グウィン先生……っ!
大久保さんによる「文舵」バックグランドの話題も超面白いです! 必読!
本格的に合評会の運営について踏み込んだ第2回は、明後日の7/3(水)公開とのことです。
https://www.filmart.co.jp/pickup/32457/
なお、本記事の参加者プロフィールにて、創元SF短編賞受賞後第一作の情報が公開されています(なんでここで?!)
というわけで、発売はもう少し先になりますが、『紙魚の手帖vol.18』掲載の「狼を装う」のほうもどうぞ、よろしくお願いします。(※公表の許可はもらっております)
今は扉絵が届いて最高になっているところです。扉絵を依頼したいイラストレーター発表ドラゴンになったら頼めました。ヤッター! 嬉しすぎ!
翻訳書を読んでいて、原註や訳註が巻末や章末にあると、あまりにもその量が多ければそこにあるのが当然と思う反面、それほど多くないなら本文と同じか近いページに入れてくれないかなと思い始めたのは高校生のころ。でもフィクションの世界だと、本文のそばに、ちょっとひとこといいですか? 的な文章があると興が削がれるかもしれないとも思い、とても覚えきれないのに、先にざっと巻末などにある註に目を通してから本文を読むようになった。
『サラゴサ手稿(上)』(ヤン・ポトツキ 著、工藤幸雄 訳)を読んで、語りの巧みさはもとより、興を削がない訳註にほれぼれした。本文見開きにおさまるように書いてある註には、訳者の言葉に対する深い思いが感じられる。特にひゃっほーなのは、47、125、166~167、169ページの註。
国書刊行会の抄訳版の工藤訳からずっと待っていたからという思い入れもあるかもしれないが、文庫本の帯や紹介(版元ドットコムの紹介文はそれと同じ)に、真正完全版ではないけど(真正完全版の訳の岩波文庫版も面白い)……とあるとおり、ぶっちゃけ面白い。中巻、下巻も楽しみ。
https://www.honyaclub.com/shop/g/g20984419/
『精霊を統べる者』読み。鍛冶靖子の精緻な翻訳が冴え渡り、女性表象キャラの各々の性格に応じて役割語が付与されたりされなかったりで、非常に読みやすかった。魔法とジンが隣人の歴史改変&SF。エジプト魔法省に務める女性エージェントが常に洒落たスーツと山高帽とステッキで事件解決に臨む。金属製の爪が武器で壁も登れちゃう女性が恋人で、近接格闘と記憶力と我の通し方に優れた女性後輩とバディを組む。フェミニズムが宣言され、20世紀初めの植民地支配にもNOと言う作り。ただ自分がこの時代の歴史に疎いため、改変ものの面白さや主張を受け取れきれていない。
特にはジンのバラエティ豊かさが好き。知識量でマウント取ってくる司書、ギャンブル依存の古物商、偏屈な〈ランプの魔神〉、守るべき人間がいる者、哲学、平和主義、彫刻家。彼らはジンという種族であり、ヒトと異なる存在ではあるが、決して「人外」とは名付けられない。種族の違いを排斥ではなく共生として描くところがよかった。
#読書