グリーグ:弦楽四重奏曲ト短調Op.27、ヘ長調(未完成)他
オスロ弦楽四重奏団

これを聴きながら、ブロムシュテット御大が「グリーグは小品の作曲家だ」ととあるインタビューで語ったのを思い起こしている。個人的には、それはより正確には「グリーグは大きな規模の作品を書くのをある時期から封印した」というべきかなと思う。

ヘ長調の弦楽四重奏曲はト短調の作品よりだいぶ後、1891年に書かれたものの、結局未完成に終わってしまったもの。その前にも1曲弦楽四重奏曲を書こうとしたものの、そちらは失われたらしい。

そうこうしているうちに、やがてグリーグの作品リストは「抒情小品集」をはじめとする民謡集の様な作品が占める様になっていく。その点ではブロムシュテットの指摘は間違っていない。

グリーグがソナタ形式などを使った、ある程度の長さを持った作品を書かなくなるのは、やはりひとえに「北欧風」であることに集中するためだっただろうと思う。民謡風の旋律を聴かせたいなら、まだるっこしく形式を整えるより最初から旋律を聴かせた方が早い。(続く

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続き)結局グリーグはそれで作曲家として名声を博して生涯を終えられたので、それ自体は彼自身の「戦略」として間違ってはいなかったのだろうとは思う。それは当時のノルウェーをはじめとする北欧の音楽界のあり方が求めることでもあったのだろうとも思う。

しかし、この未完成に終わった四重奏曲を聴いていると、本当はある程度自分の強みである「北欧風」を折り込みながら、もう少し長い作品も書いてみたかったのではないか、という気もしてしまう。その点で、グリーグにとって「北欧風」に徹することが果たして本当に彼の望むところだったのか、という気がしてしまう。

その点で、ブロムシュテット御大の指摘は色々と考えさせられてしまうポイントを突いていたと思う。

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