続き)結局グリーグはそれで作曲家として名声を博して生涯を終えられたので、それ自体は彼自身の「戦略」として間違ってはいなかったのだろうとは思う。それは当時のノルウェーをはじめとする北欧の音楽界のあり方が求めることでもあったのだろうとも思う。
しかし、この未完成に終わった四重奏曲を聴いていると、本当はある程度自分の強みである「北欧風」を折り込みながら、もう少し長い作品も書いてみたかったのではないか、という気もしてしまう。その点で、グリーグにとって「北欧風」に徹することが果たして本当に彼の望むところだったのか、という気がしてしまう。
その点で、ブロムシュテット御大の指摘は色々と考えさせられてしまうポイントを突いていたと思う。