私はクリストファー・ノーランの作風が好きで、くどい説明や内心の描写は少なく淡々と事実を積み上げていくことで観客をキャラクターの内面に引き摺り込み共感を呼ぶ映画監督としての優れた才能があると思っているからこそ、「原爆は大量虐殺兵器であり、最悪の発明だった」あるいは「アメリカの決断は間違っていた」と観た人が思うとは思えないんだよね。
《ダンケルク》だって「戦争は虚しく人の命を失わせる」という虚無感が漂ってるけど、どこかカッコいいじゃん。そこで「カッコイイと思ってしまうのは危険だな」という冷静な判断が下せる人がどれだけいるのか。
「多くを語らない男の内心の悲哀とそのカッコよさ」みたいなものを描くのがめちゃくちゃ上手い監督が、大量殺戮兵器を生み出してしまった男の悲哀みたいなものを描いたらめちゃくちゃカッコいいに決まってるだろ!そりゃ共感できたら超気持ち良くなるに決まってる!
でもそんなの「大量殺戮兵器は悪」という大前提を共有できてない世界では楽しめないよ!少なくとも原爆に関しては私は無理ッ!そして今の世界情勢的にも無理ッ!