スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『亜鉛の少年たち』を読み始めました。ソ連時代にアフガニスタン戦争に派兵された帰還兵たちに取材した戦争記録。派兵されたと思われる表紙の写真の男の子たちはまるっきりの子どもで(小学校高学年くらいにすら見える)プロローグのエピソードから口がきけないくらい重たいパンチを食らったようになる。アレクシエーヴィチの書く戦争は、遠い国のその戦争固有の記録というよりも「本当のこと」「普遍的なこと」だから、どれだけ重くても辛くても読まなければいけない本だ、と毎回思わされる。出だしの数ページから、いつもそういうパワーがある。
『亜鉛の少年たち』つらい本だったけど、そろそろ読み終われそうです。裁判の顛末を追った章を読んでいると、歴史修正主義者はどこの国にも現れるものなのかもしれないと思わされる。戦地から帰ってきた軍人たち、家族を亡くした人たちの声が連なる正視できないほどに苦しい内容なので、心を酷く掻き乱されるし好んで読みたがる人は少ないでしょうが、今この日本で出版してもらえた以上は絶対に読むべきです、と言わなければ。せめてそれくらいは言わなければ。