DUCKSの著者ケイト・ビートンさんの講演をきいた。トラウマの中で怖がりながらもオイルカンパニーを「殺人者」と呼び、絶対に批判しなければならないと思ったという話を聞いて、やっぱりこの作品は日本に紹介したいなと強く思った。先住民の人たちが公害に苦しみ、多くの動物が殺されているのは分かっていたのに「渡り鳥のカモ(DUCKS)」がオイルサンドに飛来して死んだことが明るみになると、「カモがかわいそう」と大騒ぎになり会社が謝罪する。その偽善者ぶりに憤る主人公は性暴力被害者であり、自分の置かれている状況から身を守るのに必死で働き続けることしかできない。無力さ、若い頃の無知さ、自分の選択への後悔に向き合いながら話すケイトさんの言葉にすごい涙出た。
また、その場所が安全だと思って飛来したカモに、オイルサンドで働く人たち、自分の姿を重ねたのだという。安全だと思うから飛んできたのに、待っていたのは死だった、と。
わたしはエンディングをどうやって決めたのか質問した。終わり方が分からなかったから、いくつかのバージョンを作り編集者に決めてもらったのだという。きめてもらったら、あの終わり方しかありえないと思えたらしい。
多くの賞もとっている。先日はカナダREADSでも優勝した作品だ。ページ数も多いけれど日本でもぜひ読まれてほしい。