どんなヘイト本でも批判するには自腹で買って全文読めと吹き上がる文字列が旧twitterで散見されるが、もう2000冊くらいこのタイプのゴミっぽい本を買って読んできた経験から言えるのは、〈どうしようもなさの標本とするしか後世の人類に資するものはない〉という虚しさですね。
マニアックには、同一モチーフの変容と使い回し・ネタ被りのヴァリアントから、イデオロギーの伝播と仕掛けなどを読み取ることができるとは言えます。
けれども、それをもとにして論文なり著作をものして「元をとる」可能性があるのならばまだしも、普通はそんなの無理だし、そんな暇はないだろうし、真に受ける必要ないと思う。
産経新聞のオンライン記事だが、「ジェンダー書籍」というおそろしく雑なくくりに驚いた
ジェンダー書籍、刊行中止 「当事者傷つけた」と版元 https://www.sankei.com/article/20231205-NJJCLJVJBZM7DFWIWDSLTKUCUY/
どっからどう考えても
・翻訳出版部門にトランスジェンダー憎悪・反LGBTQの枠組みで書籍を宣伝して売ろうとした連中がいる。
・KADOKAWAの企業ガバナンスが終わっていて、そうした翻訳部門の動向を感知できないまま今になってそれに気づき、ほとんど完成している書籍の刊行を慌てて中止させた。
という2点がこの結果なのに、「トランスジェンダーコミュニティが圧力をかけて出版を中止させた!言論の自由が!」っていう馬鹿みたいな情動の渦をKADOKAWAが引き起こしているわけで、ほんとマジで許しがたい。この結果まで責任取れよ。
「社史フェア2023」開催します!/神奈川県立川崎図書館(SENTOKYO ブログ)
https://blog.goo.ne.jp/sentokyo/e/da5f6e3301af04ffe7b4a01742731bba
12月6日(水)~12月9日(土)に、神奈川県立川崎図書館にて。
「2022年刊行の社史を解説パネルとともに展示」とのこと。
神奈川県立図書館のお知らせページはこちら。
https://www.klnet.pref.kanagawa.jp/find-books/kawasaki/shashi-shiryo/shashi-fair/2023/index.html
川崎図書館、そういえば、かながわサイエンスパークに移ってからまだ、一度も行ってないなあ。
KADOKAWAからは刊行中止になったけど
2023/12/5 刊行中止のお知らせ
https://archive.is/bS9iT
この展開だと、Abigail Shrier (2020) 翻訳は近いうちにどこの出版社から出てもおかしくない。Gabriele Kuby (2015) についても小坂実が一日前に言及していているのを見かけた。そうね、あれの日本語翻訳は欲しいでしょうね。
ちなみにKubyってのはこういう人です。https://x.com/selfishprotein/status/1542162515131600896
いま確認したら2022年に共著で新刊出している。。
英語圏で読まれて影響力のある反ジェンダー運動や「右派フェミニズム」を先導しきた本、これからも翻訳増えるだろうけど、一冊ごとに読者層として、どのくらい幅広く総取りしようとするかなあ。
今回のも竹内久美子より右しか取れないのでは、主流の出版社にとって割に合わない事態がないと一般書としていずれ出回るだろう。新潮社とか早川書房とかみすず書房とか筑摩書房とか、いままでからどうかと思うことをしてきたけど、その辺が改題して生物学の権威に訴えてきたらもう少し信用される形で売れかねないと思ってる。
みんなが忘れかけているけど知っているような生物学系のベストセラー作家とか精神科医とかなんかの賞取った人とか担ぎ出されるか、小保方さんみたいな持ち上げ方で誰かを連れてくるか。
@LoveIsNotLoving 〈熱心に購買しそうな層〉として日本保守党系とか
最ッ低な層に売り込もうという出版社の思惑がバレちゃってるのになあ
安倍晋三が議員なりたての頃からブレーンを務め、じっくりと育成したのがこの団体
この日本政策研究センターについては、『宗教右派とフェミニズム』や『まぼろしの「日本的家族」』(いずれも青弓社)で触れているので、ご参考になさってください。引用は今年7月の斉藤正美さんのツイート:https://twitter.com/msmsaito/status/1677308037948637184
極右シンクタンク・日本政策研究センター研究部長である小坂実がKADOKAWAから刊行予定だった例の本を待望する連ツイを投下しており、それを公然とRTしていたひどい団体もあるので、新たな反動の波に備えている
トランスヘイトな陰謀論の本が刊行中止に。ひとまず胸をなでおろしたが、バックラッシュの動きがこれで終わるわけでないことを思うと安心できない。
https://www.kadokawa.co.jp/topics/10952/
トランスヘイト本の件、KADOKAWAであることに特段の感情はないのですが、竹内久美子にゲラが送られていたのは怖いなと。LGBT法案辺りから顕在化した、右派政治家によるトランスバッシングを推し進める"参考書"になるのではと心配です。
すでに山谷えり子まで許容しているフェミニスト/左派リベラルは今さら何があっても引き返さないでしょうし、シングルイシューで賛成してるうちに気づけば右派に取り込まれてた…というケースも出てくるのかな。
出版そのものも問題ですし、右派の"参考書"になることを歓迎するようなKADOKAWAの動きは本当に酷いと思います。確信犯だもんなぁ…。
編集業。하야카와 타다노리 。『神国日本のトンデモ決戦生活』(合同出版→ちくま文庫)『原発ユートピア日本』(合同出版)『「愛国」の技法』(青弓社)『憎悪の広告』(共著、合同出版)『「日本スゴイ」のディストピア』(青弓社→朝日新聞出版)あり。 真理が我らを自由にする&労働が我らを自由にする。