「現実の苦しみ・辛さ・面倒なことetcをなかったことにしてくれる」存在としてのアイドル(と推し行為)という側面がある以上、事務所社長が児童虐待してたとか推しそのものが被害者だったとかもぜんぶ「現実の苦しみ・辛さ・面倒なことetc」として認識され、アイドル(と推し行為)によってなかったことにされてしまう、そういう認知システムの中にジャニーズファンの一部はいるんだと思う。もちろんこれはジャニーズに限らず、あらゆる推し行為に共通する。

そのうえ「どんなに逆境のさなかにあっても笑顔で乗り切ってくれる推し/私に元気をくれる推し」という状況に快楽を覚える、というある種の無自覚な加虐願望も加わってしまうことがあるのだろう。そうなると上記の認知システムはより強固なものになる。苦しめられる推し、しかしそれを乗り越える推し、そのことで私は現実の苦しみ(=事務所がヤバい)を忘れられる、しかし現実の苦しみはなくならないので推しは逆境にまだいる、苦しめられる推し、しかしそれでも元気に笑顔を振りまき私を癒してくれる推し、そのことで忘れることができる面倒なこと(=事務所がヤバい)、という無敵ループ。

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ただ、これをアイドルファンだけの問題にしたところで状況はよくならない。この依存傾向なり無自覚な加虐願望なりは、根本まで突き詰めれば「他者による適切なケアが十分に受けられない状況にある」ことによるものだと思うので。

なにもかもをないことにして、それでやっと生きていける人生がそこにある。というのは相当に苦しいものだ。そこをケアしないままでは、どれだけ現実を見ろと批判したところでなにも変わらない。とはいえそのケアをできるだけの余裕が私たちにないのもたしかであり、いやんなるねまったく、という感じ。

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